The season of harvest / 〆

え？ ああ？

(これまで特に何も考えずに動き、ともかく、自分を庇ってくれた相手を強引に引き連れて逐電したものの、その先でその相手から謝られたり心配されたりするのは、これまた意外性のあることで。間の抜けた返事ともつかない台詞を漏らすも、その隙に相手はこちらの肩を掴んで質問を重ねてきて。咄嗟のことに呆けた表情になれば、頭の中にはぽこんぽこんとクエスチョンマークが増えていく。……なんだ、こいつは？巻き込んだ？ いやいや、訳アリな雰囲気は察したが、そういう裏の世界に生きている輩こそ、他人なんてどうでもいいという奴等ばかりだった。さっきも自分を囮にして逃げるということだって出来ただろうし、そうじゃなくても庇う義理は全くなかったはずだ。それが庇ってきた。そのうえ、何かよく分からないが、私物も犠牲にしてくれたようだ。結果として、相手は今、手と太股を明らかに負傷している。対するこちらはお陰で無傷。なのに、この人間は今、自分の心配をしているのか？ …そうだ、しかもつい先程、別の人間には"化け物"と叫ばれ、逃げ出されたドラゴンの姿も見た上で？ 触れられたことも全然嫌ではなかったのに、され慣れていない心配のくすぐったさと増えていくクエスチョンマーク、どうにも咀嚼し難い現状に一口では言えない奇妙な耐えがたさ、恥ずかしいような感覚を覚えれば、少しだけ赤面し、身構えるようにばっと片腕を上げ、照れ隠しの如く相手の腕を振り払ってしまい。張りぼての虚勢再びと言ったような、形だけ気の強そうな瞳を相手へ向けては質問への回答も中途半端に「…ッ。ばかやろうッ…！あんたのお陰でこっちは無傷だ！お前は血が出てんじゃねぇか…！」と告げ。続いて、相手の目を見つめたまま、何か理解し難いものを警戒でもしているのか一歩、二歩と後退すると、その場でびしりと指を差し)

薬草持ってきてやるから、そこでちょっと待ってろ！