亜人少女 2018-10-19 19:15:50 ID:dc9cacd2c |
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『仲間がいるぞ!』
『そっちは殺しても構わん、やれ!!』
『いや…かなりの上玉だ、こいつも高く売れ、ぐ…』
(自分で言っておいて何をと思われるかもしれないが、はるか遠くのもう存在するかも怪しい国の伝説が彼女に通じた事に目を丸くする。知っているとは意外…いや頭悪そうとかじゃなくて人との関わり少なそうなのにだから!!…などと口にしたら間違いなく怒られそうな、誰に向かってかわからない言い訳を脳内で浮かべながら次の句を紡ごうとするも、鋭い目と指先を突きつけられてしまい口をつぐむ。これ以上関わる気のなさそうな相手に、こちらもそろそろ潮時かと鞄や装備品の確認をして振り返り立ち去ろうとした瞬間、乱暴に乗り入れてきた兵士たちに囲まれてしまった。
どうやら下級兵らしい、下賎な視線を背後の少女に向ける若い兵士が最後まで言い終わるのを待たずに、大股で飛びこんで喉を柄のついたままの短剣で一突きにしてやる。
御者も含めて5人中残りは4人、本来なら絶望するところだが、幸い此処にはすぐ近くに迷路のような坑道がある。罪人を追ってきただけの他国の迂闊な兵隊なら露知らず、自分のいる周辺の地図を頭に叩き込んでいなければ10年も逃げ続けるなんて不可能である。幸運ついでに連れの1人は、人並外れた身体能力の"化け物"だ。
囲みの1人が倒れきる前に不意をついて飛び出せば、今まで通り逃げ切ることでができる…筈だった。仲間を打たれて、多勢に無勢と油断していた兵士達が慌ててサーベルを引き抜こうとする中、逃げ切れるつもりで巻き込んでしまった少女の腕を引いた。)
逃げるぞ!
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