亜人少女 2018-10-19 19:15:50 ID:dc9cacd2c |
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……! ……遠い昔、北の果てに山脈に囲まれた小国があった。小さくても平和な国だったのに戦争が始まって……という話かな。
(今まで渡り合ってきた粗野なチンピラが見せるようなニヤケ面とは訳が違う。どことなく気品を感じる明るく柔らかな微笑みに、きょとんとした表情となって瞳を奪われれば、次に続けられた言葉に一度、ぴくりと反応してしまい。僅かな間を置くと、聞いた覚えのあるお伽噺のさわりを静かな声でそらんじてから、目をそらし。会ったばかりの人間が、自分を心配してくれているとは露知らず、ただ悪感情は全く抱けないのに、掴み所も感じられなくて、ひたすらに奇妙な相手の真意を図りかね、行き場を失った視線を落葉に飾られた地面にさ迷わせて。……何だか、本当に不思議な男だ。好奇心をそそられないわけではないが、興味を感じたからって自分に何ができるのだろう。人間とはどうせ分かり合うことはできない。……暫しの逡巡の後、もっと話してみたいと思ってしまったからこそ、期待はできないその望みを自分から振り捨てるように、そらしていた瞳をキッと相手に向け直せば「へっ! とにかく話はそれだけか? 私はこれから狩った獲物を捌くんで忙しいんだ。あんたも早いうちにこの峠を抜けた方がいいぞ!」と相手の胸あたりを指差しながら、台詞の一つ一つを押しつけるように告げ、ぷいと踵を返し、さっき倒した熊の元に戻ろうとして。……だが、そこで突如、空気を裂くような荒々しい馬のいななきと豪快な車輪の音が響き渡り。咄嗟に相手の近くに足を戻せば、2人の横を馬車が駆け抜け、往路を塞ぐように軽くカーブをしてから急停車し。御者が軽く軍帽を上げ、自分の後ろにいる男に向かって『見つけたぞ。逃亡劇も今日までだ!!』と訳の分からないことを叫んだかと思えば、同時に馬車からはドカドカと物々しい雰囲気の人間が4人ほど降りてきて。状況を掴みかねているうちに、馬車から降りてきた人間たちもそれぞれ声をあげ始め)
『引き返そうとしても無駄だ!追跡者は俺たちの他にもいる!』
『手こずらせやがって!だが、今日でそれも最期だ!』
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