須藤 理仁 2018-10-16 22:54:58 |
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…えっ?ごめん、よく聞こえなかった…──なんて。お互いもう、一人で抱え込むの無しな。また拗れんのだけは嫌だしさ。
( 自分には勿体無いほど暖かみのある言葉に半分意識を持って行かれそうになり、本当に聞き返すつもりはないものの冗談混じりに惚けてみせつつ一度瞼を閉ざしてふんわりとした笑みを溢し。お互いにちゃんと話し合っていれば起きなかった出来事は、恐らく時間が経とうと忘れられるものではなく、二度目がないようにと口にし。同じように埃や砂を払いながら話に耳を傾けると心底安堵したように息をつき「良かったー…。俺の方も擦りむいたぐらいだから、大したことないよ。─それ言ったら俺だって、おばさんに合わせる顔ないって。しかも嫁…じゃなくて婿入り前の子を傷物にしたなんて、間違いなく母さんにぶっ飛ばされる。…そう?ならいいんだけどさ。」日頃からお世話になっている相手の母親を想うと同時に脳裏に浮かぶ自分の母親。息子である自分よりも何かと相手の事を気に掛けていた様子から、万が一何かあればと頬をひきつらせれば振り払うように首を振り。早起きについてはさほど気に留めた様子もないため深く追求することなく、ふと差し出された手と交互に見つめるように相手を見ると先ほどとは真逆だと小さく吹き出しつつ「じゃあ、お言葉に甘えて…。─母さん仕事に行ったら、二人っきりになるんだけど…いいの?」指先絡めるようにぎゅっと手を繋ぎ、いくら朝早いとはいえ母親が仕事に向かうのは時間の問題だと冷静に考えれば途端に隣の相手への意識が強くなり再び頬に熱を持ち始めて顔を背けながら投げ掛けて )
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