探偵さん 2018-10-15 14:31:19 |
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っ、!――――……あんな馬鹿げたこと俺は信じたくないが、…実際にこの体に起こったことを否定するほど馬鹿じゃない。俺をあのまま消さなかったのは、俺に利用価値があるからだろ?っ、――で?何が望みだ?金以外で俺にその高額な解決料をどう払わせる?
(『不安なのか』その言葉は自身が必死に取り繕い隠そうとしていた心理そのもので、図星を突かれ反論しようと口を開けるがその前に相手の言葉が続く。悔しげにこちらを揶揄い遊ぶ目を睨み返すが負け犬の遠吠えに等しい。口さえ回して静寂を潰し続ければ大抵の人間は自分に圧倒されて閉口するのに、こいつときたら化けの皮を見透かしてくる。しかもこの短期間で、だ。こいつの側を離れることができないのに、早くも相手のペースに乗せられがちで先が思いやられる。だがかといって、こいつを振り切って逃げることもできない。この不気味な資料に囲まれた部屋の居心地も最悪だが、1人になれば先日の恐怖をまた繰り返すのだ。誰にも認知されず、誰にも知られぬまま声さえ出せなくなってただ静かに涙しか流しながら存在が消える…あの時の瞬間を思い出し悪寒が走って頭を振った。もうどうせ後戻りもできない。この馬鹿馬鹿しい場所で、馬鹿げた相手と暮らしていかねばならないのだ。決意をしても相手がガクンと首を人形のように傾げると不安が胸に襲いくる。それを振り払うようにまたよく喋る口を動かしながら答えを誤魔化す相手を睨んだのだった)
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