バスケと青春

【 アキラ 】


そうだな、良い友達を持ったよ。...そうか？昔よりは大輝の気を引ける男にはなったつもりだけどなァ、なんて。( 自分の言動の何処にそんな要素があったのか、ほんのりと色付く頬に気を良くしては、肩を小突かれるのも照れているのだろうとポジティブに受け取り「 仕方ねェだろ？好きなものは好きなんだよ 」髪だけではなくお前自身が、と付け加えたいところだったが、先程から距離感の近い自分達を見る部員達の視線が突き刺さる様に痛く、今は気持ちを留めておく事にして。彼の言う通り何だかんだ言っていつも身内には甘い仲間達の顔を思い出すとくすりと笑いを溢し、額に軽い痛みが走ると一旦掴んで居た頭を解放してやり、揶揄う様にくつくつと喉を鳴らして笑い。そうこうしている内にそろそろ練習が始まるのか号令が掛かり、先輩から今日は見学する様に言われると適当に返事をし、相手の耳許で一方的に約束を取り付けては各ポジションにつくチームメート達に倣いその場を離れて。)イテ、..見てて飽きねェっていうのはそういう所だよ。ほんと可愛い奴。――ああ、はい。すぐ行きます。...大輝、この後時間あったら此処で待ってて。



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【 緑間 】


....気が向いた。今日のおひつじ座のラッキーアイテムは一番仲のいい異性だ。..仕方ない、くれてやるのだよ。( いつも通りの己なら他人が落ち込んでいようと自分とは関係ないと割り切って放っておくのだが、あまりにも普段との温度差を感じ、頼まれたボールすら目もくれずその場に留まっていると、次の瞬間彼女の口なら出た星座を聞くなりピタリと動作が止まり、今朝のおは朝占いの記憶を呼び起こし、暫くの沈黙を破って練習着のポケットから今日のラッキーアイテムのオレンジ色の付箋とボールペンを取り出しては、何やらに文字を書き出し付箋を一枚めくって相手の額へそっと貼ると、其処には"緑間真太郎"と記されており、遠回しに彼女の事を一番仲のいい異性だ、と宣言している様なものなのだが、気が付いていないのか部活そっちのけで相手の隣へ腰を下ろして。気を落としている彼女が赤裸々に話しているのにも関わらず容赦のない喝を浴びせるが、苦悩を吐き出す様に言葉を紡ぐ姿を見兼ねて、しゃがみ込んで目線を合わせると珍しく励ます様な素振りを見せ。)馬鹿め。"自分なりには"なんて言ってる内は話にならん、その先こそが人事を尽くすという事なのだよ。..どうしようと勝手だが、お前の心はまだ死んでいない筈だ。