執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ジェイド
(太陽が姿を隠し、月の淡い光が朧に地上を照らす時刻。普段ならばとっくの昔に就寝し深い眠りについている。微かな寝息だけが静寂にひっそりと溶け込んでいる筈が、今晩は少し様子が違った。己でも無意識に呻き声を発していたのだ。虚空にもがくように片手を伸ばし、何かを掴みかけた所で不意に脳は覚醒へと稼働し、小さな手は何も掴むことが出来ずにパタリとシーツの上に投げ落とされた。じっとりとかいた冷汗が気持ち悪い。ドク、ドク、といやに耳奥にこびり付く音。いつのまにかオルゴールの音も消えていたようだ。そろりと視線だけを動かし、カーテンを開けたままの窓、正しく言えば窓の外に広がる暗闇を瞳に映した。刹那、断片的に様々な場面が頭の中を駆け巡る。ベットに沈む誰か、伸ばした手、誰かの背後に広がった青い…眩しいほど青い空。「……っう!」途端に胃の奥からせり上がってくる灼熱感に縺れるようにベッドから駆け下り洗面所へと向かう。限界まで捻った蛇口、ザァー…と水の流れる音が静寂をかき消した。幾許か後、ベットの主人は疲れたように戻ってくる。忘れていたナニカを思い出しそうだ。衝動的に机の上に置かれた描きかけの絵を掴み破きかけた。その絵はまさしく、以前大切な彼に必ず完成させて披露すると約束したもの。「…破けない……。僕には、破けない…」そう破けるわけない。待っている、と言ってくれた優しい笑顔が重なり、視界は涙でぼやけ、力を無くしたように手の中から絵が滑り落ちた。怖い怖い、その感情が暴走するように一気に押し寄せてきた。暴いてしまった彼の秘密、どんな顔をして会えば良いのか、自分は彼に顔向け出来る資格があるのか、そんな悩みはこの瞬間脳裏から消え失せ、彼に会いたいとその思いだけに占領される。部屋から出てはいけないとか、屋敷の住人たちの事など最早頭の中にはない。思い描いた人物に会いたい一心で、部屋の扉を開け、暗い廊下を初めて自分一人だけで駆けていく。「…ジェイド、ジェイド……!」祈るように紡がれる名前。彼の部屋は知らない。知らず足が動く先はジェイドと訪れた事のある世界樹のある美しい庭園。無意識下で一番会える確率が高いと判断してのことだろう。激しく鳴る鼓動と息遣いの音だけが煩く響く。不意に背後で何かが揺らめく気配がした。彼だろうか?振り返った先、月光に淡く浮かび上がるのは生々しいまでの鮮血。「…え?」その言葉は果たして呟いたのかそれさえも分からぬほど小さな声量で漏れた。ぴちゃり、滴った赤色を追いかけるように視線を上げていくと闇に紛れ込むように、ひっそりと佇むようにして存在している怪物。ひっ、喉奥で張り付いた悲鳴は音にならず、蹌踉めいた体はドンと壁に打つかり、硬直したように動かなくなった)
(/有難う御座います!お相手はジェイド様でお願いしたく思います。簡単にロルを、との事でしたがこのイベントも是非今後の流れに繋げたく少し長々となってしまいました。前半はさらりとお読み下さいませ。住人様も追加され是非とも交流してみたい気持ちはあるのですが、ジェイド様との捕食エンドを達成してから新たに絡ませていただければと思います。では暫しの間、宜しくお願いします。礼)
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