執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>テオ
……ん?全然痛くないよ。って言うか、ふふっこれじゃ簡単にすっぽ抜けちゃうよ(隣り合って歩いていれば、控えめな声が頭上から降ってくる。問いかけに対し素直に言葉を返すも、改めて今繋がっている手を見れば、それはただ軽く触れあっている程度であると漸く気付き、ふふっと笑みを溢す。扉を叩く遠慮の無い力と比べれば、今は何と頼りない力だろうか。これでは歩く速度が違うからと繋いでいる意味が無いのでは?だがそれが、頑丈な相手よりもずっと弱いただの人間である自分への配慮なのだろうと感じては、大丈夫である事を伝えるように己から、ギュッと力を込め今にも離れそうなその手を握り直し。次いで使い魔との間を取り持ってくれるような返答を受けては、ガバッとまた顔を上げ瞳を開き「それ本当?ありがとうテオ。魔法教えてくれる日がもっと楽しみになっちゃった!」さらにゆるゆると表情を和らげる。魔法の約束が果たされるその時まで自分は誰にも食べられず過ごせるか、その保証はどこにも無いが、小さな楽しみがこの館での未来に明るい光を差してくれる。そこに重ねるように相手からもたらされる嬉しい申し出に瞳を大きく揺らし「え、いいの?面倒じゃない?──もし、その言葉に甘えて良いならお願いしたいかも。本は英語で書かれてる楽しい短編集とかがいいな。裁縫は基本的な道具と布、後は……うん、丈夫でカラフルな刺繍糸が何種類か欲しい。どうかな?流石に欲張りすぎ……かな?」嬉しさと戸惑い半分に聞き返してしまう。が、一人で出歩く危険を犯さなくていいのはとても有り難く。頼るか頼らないか、その誘惑に天秤の針は前者へと大きく傾いてしまえば、今欲しい物とカラスのような使い魔の姿を頭に思い浮かべ、最後に相手の手首を一瞥してから、遠慮の無いリクエストを連ね。言い終わってから、相手にとっては餌の一人である自分に対しそこまで親切にする道理は無いとの考えが過っては、却下されても仕方ないとは口につつ、期待するような熱を込めた視線を相手の金色の瞳に真っ直ぐ注ぎ。そうしてお喋りしている内に目的地手前まで到着したようで。「わぁ……え、すごいすごい!此処がそうなんだ!すっごく綺麗。それに見た事無い花ばっかり。私もっと近くで見たいっ、行こうテオ!……あ、また頭ぶつけないよう気を付けてね?」透き通ったガラスの向こう側には、今まで普通に暮らしていれば到底見れなかったであろう、美しい草木が、雲一つ無い真っ青な空の下、燦々と降り注ぐ光をめいっぱい浴びて輝く姿が広がっており。より良く見ようと瞳を丸く開き、興奮から声のトーンを明るくしては、矢継ぎ早に感情の赴くまま感想を紡ぎ。此方に向けられる視線と目を合わせれば、近くで見たいと述べる瞳はさらに爛々と輝きを増し。早速空いている手でガラスの扉を開き、遠慮を忘れグイグイと相手を引っ張るようにして庭園へと進もうとするも、相手と初めて対面した際強く印象に残ってしまった出来事を思い返しては、あれは自分達用の部屋だったからかもしれないが、と一度振り返り注意を呼び掛けてから、庭園へと足を踏み込み)
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