執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>レベッカ
(ざわり、部屋の空気がよどめいているのは決して気のせいではない。それは風や気温の所為ではなく、きっとクォーヴから発せられる魔力が渦巻いているから。尤もそれは人の目には不可視であり、貴女にはただ肌を打つような死神の存在感がプレッシャーの様に感じられるだろう。絡むように握り締める貴女の手、不穏な気配を感じ取ってはいるのだろうが、振り払おうとしないあたり、矢張り貴女は優しい。その暖かい心に興を惹かれたからこそ、悲劇はゆっくりと幕を上げる。貴女の問いにふわりと微笑んで見せれば、繋いだ手をそっと自分側に引き寄せ、貴女の手の甲へ触れるだけの口付けを。途端に、貴女へ襲い来るのは抗いようもない脱力感。ゴトリと音を立てて貴女の記憶が一つ失せる――それは一体どんな思い出だろうか。想像通り美味なそれに満足そうに一度唇を離すけれど、魔力の影響か貴女に抵抗は許されないまま「テオには、きちんと伝えておくよ。君が、彼をどう思っているか――君の最大の思い出に、彼の名が挙がったことを」まるで、貴女がもう二度とテオに会えないかのような不穏を感じさせる言葉だが、口ぶりは至って穏やかで、顔も柔らかな微笑みのままで)
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