パステルカラー 〆

（やっぱり約束の時間より少し早く着いてしまい
授業の予習をしておこうとカバンを開こうとしたとき彩の声がして）
おはよう、彩ちゃん
……って、髪がたいへんなことになっているわよ？！
（ぱぁっと表情を輝かせながら振り返ると
彩の髪が爆発しているのが目に入ってびっくりして）

えへへ…千聖ちゃんと早く登校したいって気持ちで髪の毛をとくのを忘れちゃった。
(ボサボサの髪の後ろに片手を当てながらこうなってしまった訳を呑気に微笑みながら説明して。)

まったく
アイドルは身だしなみが大事だって、麻弥ちゃんにいつも小言を言ってるの、知ってるでしょ？
（彩の仕草が可笑しくて
彩の気持ちが嬉しくて
少し苦笑しながら化粧ポーチからブラシを取り出して）
後ろを向いて
といてあげるわ

ごめんってば…千聖ちゃん
(まだ頭の後ろを掻きながらも同じく苦笑いをしながら千聖に一生懸命強調して謝り。)
え…？良いの？

朝早いからあまり人通りはないけど
パステルカラーの丸山彩ちゃんを、そんな格好で出歩かせるわけにはいかないわ
（微笑みを浮かべながら、彼女の背中に回って丁寧に髪をときはじめて）
彩ちゃん、綺麗な髪しているわね

そうだったね…私はパスパレとパステルカラーの丸山彩！
(はっと我に返ったように目を見開くと一気に目が覚めたかのように元気を出して。自分の髪をときながらも自分の髪の毛を褒めてくれる千聖の言葉に驚き。)
そう…かな？私初めてそんな事言われたかも

そうよ？
自覚することが大切なの
外にいるときはいつでも人の目を気にしなきゃダメよ
(言いながら手際よく髪を編んでゴムでまとめて)
彩ちゃんの髪
カラーも可愛いし、わたしは好きよ
はい、できたわ
三つ編みの上からハーフアップにしてみたの
どうかしら？
(横から鏡で映して彼女に見せて)

千聖ちゃんの髪の毛の髪色も私は大好きだよ。
(頬を赤く染めながら自分が今まで思っていたことをお礼として千聖に告白をするように言って。)
……！まるで私じゃないみたい。ありがとう。千聖ちゃん。

ありがとう、彩ちゃん
ちょっと派手すぎなんじゃないかって、ずっと思っていたから……
あなたにそう言ってもらえると本当に嬉しいわ
(こちらも、好きと言われると嬉しそうにはにかんで)
気にいってもらえたならよかったわ
彩ちゃん、可愛いわよ
(にっこり微笑んで、心からの本音を伝えて)
じゃあ、行きましょ

派手なんかじゃないよ！とても可愛い！
(千聖の暗い言葉にとても反応したのか強く顔を横に振り。千聖のクリームイエローな髪の毛の色はとても丁度良いシンプルさがあり、可愛いのだと褒めて。)
えへへ…うん！そう言えば千聖ちゃんって今日の放課後は時間あったりする？
(頭に手をやり笑うと縦に頷き。話題を変えると相手を覗き込むように見ながらも聞いて。)

あ、ありがとう、彩ちゃん……
(可愛いと言われることには慣れているつもりだったけれど
彩に言われると恥ずかしくなって
顔を赤くして俯いて)
えっ、今日？
(並んで歩きながら手帳を取り出して
ぱらぱらとめくって)
……今日は６時からお芝居の稽古があるけれど
それまでは大丈夫よ
どうしたのかしら？

あのね、千聖ちゃんとのユニットの話がしたいなあって。あれから聞いてないし…。
(唾を飲み込むとあのねと言う言葉から千聖とのユニットの話がしたいことを述べ。)

もちろん、いいわよ
（にっこり微笑んで、頷いて）
よかったらだけど、彩ちゃんがバイトしているお店に行かない？
わたし、あのお店のアップルパイ、好きなのよねぇ～
（アップルパイの味を思い出しながら、どうかなとたずねて）

やった！私がバイトしてるファーストフード店に…良いよ！
あそこのアップルパイ私も好きなんだよね。
(微笑んで頷く相手を見て嬉しくなりジャンプして。自分がバイトをしているファーストフード店に行くという提案をした千聖の提案にオッケーすると人気商品のアップルパイの味を思い出しながら言い。)

ふふ
ならアップルパイでお茶にしましょ
(大げさに喜ぶ彩を見て微笑ましく思い)
そういえば
宿題にしておいたＭＣ、どうかしら？
なにかいい案は浮かんだ？
(並んで歩きながら、少し身を屈めるように彼女の顔を覗きこんで)

それじゃあ決定だね。…ううん、実はね私まだ思いついてないんだ。
(アップルパイでお茶にすると言う結果に決まるとこくりと頷き。覗き込まれると忘れていたとばかりに顔を暗くして。素直に顔を横に振るとまだ思いついていないことを明かして。)

そう、それならちょうどいいわね
いっしょに考えましょ
(バツの悪そうな彩を意に介さず、優しい微笑みを浮かべて)
ファンのみんなに盛り上がってもらえる、楽しいＭＣにしたいわね

千聖ちゃん…怒らないの…？…優しいね。
（優しい微笑みを浮かべる相手に少し疑問が浮かんで。自分が全くMCが思いついていないと言うのに全く怒らないのはどうしてだろうと思い。しばらくすると理由が解った顔をして。）
うん！ファンのみんなに盛り上がってもらうのが私たちのモットーだもんね。

ふふ
そんなことでは怒らないわよ
考えたけれどまとまらなかった感じでしょ？
一人でできないことはふたりで力を合わせればいいのよ
違うかしら？
(片目をつむって、悪戯っぽい笑みを浮かべて)
パステルカラーはふたりでひとつ、よ

そうなんだよね…お客さんに盛り上がってもらえるようなMCをって考えると難しくて。
(考えたがお客さんに盛り上がってもらえるMCと考えると一生懸命頭を必死に働かせながら考えたとしても無理な課題で。)
ふたりで力を合わせる…？そっか、そうだね…パステルカラーは私1人だけじゃなかったんだ