橙 2018-08-11 15:32:12 |
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>27 佐野
( 人の瞳は全てを物語ると父に教わった。喜びも悲しみも怒りも恐怖も、瞳の奥に映り込んでしまう。根本である感情そのものを殺さぬ限りは相手に悟られてしまうものだと。相手の瞳に映る感情は今まで見てきた刺客とは打って変わった不思議なもので、恐怖や後悔とはまた別の其れ。掴んだ手元からナイフが落ちれば床に敷かれた敷物の上に落ちて鈍い音を奏でた。冷静に言葉を紡ぐ相手の様子を見る限り己との力の差を分析しているのか逃げる素振りなどは見て取れぬ事から、此方も急ぐ事はないとあくまで冷静に相手を観察していた。人の心理を暴く事に興味はない、何を考えていようが最終的に辿り着く場所は同じで思考共々骨となって仕舞えば探らずとも関係ないとの考えからである。然しながら、己の心理を暴こうとする様子を見るのは嫌いではない。興味こそ同等にないものの、己の思考を探ったところで見える感情等ありはしないからである。骨折り損とは正にこの事。首元に伸ばした左手が相手の手によって静止されたのに気付いたのは口元の掌が其方に向かった事で自由になった事から。空気に触れた唇は人との熱で微かに湿っており、言葉を放とうと動かしては相手の言葉に遮られ叶わなかった。"取引"。仕事柄取引を持ち運ばれる事は少なくはないが、この状況で相手が何を差し出して来るのか何とも興味深い話である。)
...その取引を断れば次はどんな行動に出るのか見物だな、piccolino.
( 掴まれた腕を強くこちらへ引くことで相手のバランスを崩そうと企めば次いで皮肉混じりに"おちびちゃん"と付け加えつつ試す様な言葉を紡ぎ )
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