某所・封印の地
「やっと……やっとここまで辿り着いた……」
息も絶え絶えの僧衣の男が一戸建ての家屋ほどもある巨大な黒曜石の前に跪く。周囲には黒曜石を守護するために置かれていたであろう警備兵の亡骸がいくつも横たわっている。流れる血の一端が黒曜石に触れると、それはまるで生きているかのように、それこそ心臓のように脈動する。その様子はさながら歓喜に満ちていた。生まれたがる赤子のようだ。
「これで復讐は完成する。俺を認めなかった奴らに、末代までの厄災を降り注がせてやる。」
男は懐から禍々しい装飾の施された金剛杵を黒曜石に打ち付ける。すると打ち付けられた場所を中心に全体に巨大なひび割れが走り、ついには砕け散る。砕け散った黒曜石は内部が空洞であったようで、そこには得体の知れない黒い靄が渦巻いていた。
「フハハハ…………フハハハハハハハハハ…………」
黒い靄が男を包み込み、男が靄に飲み込まれていく。男は笑い声とともに虚無に消え、そこには新しい人の形をした何かが残った。
「あぁ、よく寝た……」
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