主 2018-08-05 11:26:40 |
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…。入れ。
( 鳥の囀り、小川のせせらぎ、笹が揺れ擦れる音。静寂とはこのことか、都心の中心の喧騒から離れ郊外の竹林の置くにひっそりと経つ大きな平屋の立派な和風家屋の邸は重厚な木の門で入口を閉ざされており、その邸へ続く道は石畳と等間隔で置かれた松明が出迎え、門を抜けると小川と池、離れの蔵もある立派な日本庭園。穏やかな昼下がりでも、何故かここの一帯だけは不気味な静寂が漂っており、邸からも物音ひとつせず、ひっそりと静まり返っていて時折跳ねる錦鯉の水音が木霊していて。そんな邸の置くに鬼の模様が描かれた襖の先、縁側の向こうから聞こえるそれらの音に耳を傾けながら肘掛に頬杖を着いて片足を立てながら座る男が1人。広い邸、広い部屋が沢山ある中の一際広い部屋の置くにぽつんと居る姿は浮世から離れたような錯覚。開けた縁側の扉の先にある日本庭園に時折横目で視線を向けつつ、左傍らに置いた大きな朱の盃と瓢箪。煙管から燻る紫煙の臭いは妖艶なもの。朝から晩、月が昇っても太陽が沈んでも殆どそこから動かぬ男の耳に遠くから聞こえてくる音に察しはついており。聴覚、嗅覚、視力、人間より遥かに発達した五感、閉ざされた入口の襖の先でその相手が声を発する前に伏せていた瞼を持ち上げては重みのあるそれでいて畏怖の念すら感じられる静かさと息詰まるような冷酷さを持ち合わせた声色で許可を出し。開けた先には痩けた男が1人姿勢正しく床に着くほどの綺麗な土下座、言わば礼をしており。 )
何用だ---…、嗚呼…“飢え”ているのか。ちこう寄れ。
……呑め。
( 焦点のあまり合わない男の掠れた声から発するそれに検討がつくと、僅かに口の端を持ち上げてみせ。顔を上げるよう促しては黄金に染まるその瞳で指示を出し、ゆっくりと震えは畏怖か、それともはたまた別か、足取り不安定なその男を見詰めながら目の前にやってきたのを確認すると瞼を伏せ。やや光の差し込むそこは、闇との境がハッキリとしており、何かの“聲”、単語を並べているだけのような言葉。耳を澄ませなければ聴こえない程の小さな聲が聴こえ始めるとざわざわと、何かの蔓延るような感覚、男が驚いているのか逃げようとしているのかたじろいたがもう遅い。気が付くと男は黒い影が全身に巻き付いており、床に膝を着かせて座らせると顔を上へと向けさせ左手を相手の顔の上に伸ばしては影がまた1つ己の腕に巻き付いてきて、するりと離れたかと思えばどこか腕を切らせており、和服の隙間を通って下げた細い指先から相手の開けた口にぽた、ぽた、と紅の血が落ちていき命とも捉えられる重みのある一言を発してはゆっくりと男がそれを呑み込ま始めて。暫くして男の目が紅に染まるのを見ると、まだ“若い”鬼だと理解して、ゆっくりと拘束を解いてやれば静かにそれでも足早に男が去るのを確認し、影は再び戻っていくといつの間にか男の傷も治っており、再び訪れた静寂に瞼を伏せ。 )
( /遅ればせながら、絡み文を投下させていただきます!非常に長くて大変申し訳ないですが、他の方へもこのように長くなってしまうかと思われます……苦手でしたら言ってください…!
それではよろしくお願い致します…! )
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