白 2018-07-26 15:40:36 |
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お互い任務を遂行するのでアリマス!
( 普段使いのその笑みが浮かんだ事に安堵の息を飲み干して、猫が耳を立てるが如く興味深そうに彼の言葉が途切れるのを待つ。暫くして、何とも痛快な返答にくしゃりと頬を上げた。頭の中では変わらずデートと言う単語が巡り巡り、想像を膨らませていく一方だ。こうして彼の横を歩く事は咎められず、その視線の先を追う事も、こうして言葉を二人寄せ合う事も容易いのだろう。未だ何処に行くのかなんて事は靄がかった想像__否、妄想だったが、唯々共に散歩すると言うことだけでも十二分に幸せだった。出来ることならばその視線の先を此方に向けてくれれば、もっと。
など、一人の世界に浸りきっていると不意に髪を撫ぜられる感覚に襲われた。空想が遂に知覚にまで、と薄々考えて数秒、それが決して空想ではない事に気付いた。明らかに髪を梳く指の感覚と、整えたそれを乱す様な動き方。視界の端に散らつく彼の部屋着を追えば、先程よりも幾分か近くにある端正な顔立ちに大きく心臓が跳ねた。まるで大人だと言わんばかりに浮かべた笑顔が何時もの彼とは随分と違って見えて、どぎまぎとしてしまう感情を隠せぬ侭声にならない声で悲鳴を上げて。羞恥にも似た感情と頬に集う熱が厭に夏を感じさせて、あからさまに下手くそな言い訳に投げ込めば、「あ、熱いですネ…」と述べて視線を宙へと泳がせつつ、手で顔を仰いで見せ。
我慢し切った自分は偉いぞ、と心の中で自画自賛をしていると、殊の外熱を孕ませた視線に射抜かれた。其れは自分が彼に心を奪われたあの瞬間の余裕さは無く、然し余計に彼に心惹かれてしまう様な視線だった。嗚呼、これは我慢できない。何故か独りごちる様に心の中で負けを認めては、酷く嬉しそうに頬を緩めて「…好きです、」と小さく呟き。そうして、こくりと頷けば「待ってますね!」と返して。
暫し葛藤があったように感じた。其れはもしかしたら葛藤では無いかもしれないし、余りにも当たり前過ぎた質問だったから呆れたのかもしれない。そうやって考える時間は、彼の穏やかな微笑みであっさりと終わりを迎えた。如何やら余りにも当たり前な幸せは、彼の中の大部分を占めているらしい。ちり、と心の焼ける感覚は彼の母親への少しばかりの闘争心。それを喉の奥に飲み込んで )
…えへへ、グモンって奴でしたね!私も料理上手になって見せますね!先輩のために!!
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