せいふのきつね 2018-07-09 23:37:24 |
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…入るぞ。( 一声かけてから襖を開け )
昨日は加州が世話になったそうだな。いつになく真剣な顔つきで、此処に来て代わりに礼を言うようにと頼まれた。……あんたの勘は鋭く的確だと、今回のことでつくづく思い知った。あいつの気持ちに気付いてもなお公言せずに、時にそっと裏で手を貸しつつ見守っていただろう。俺は此処を利用して大分経つが、あんたのような奴は初めてだ。――感謝する。( ぺこ )
書き込みの件のことだが――…その温かみのある一言が、やけに心に沁みているようだった。大丈夫だと、不安は杞憂であると誰かにずっと言われたかったのかもしれないな。それと、髭切に伝えてくれ。自分で思うほど、あんたは冷たい奴じゃないとな。本当にそうなら他者を気遣ったりはしないだろう。
――本来なら向こうで書き込むのが正しいが、そうすると俺に変更した意味がなくなるんでね。俺もこの場を借りて言う。
あいつ…浅葱色の羽織りを着た奴が去った理由は知る由もないが、あんたのせいじゃない。…いや、違うな。言うべき箇所は他にあるか。仮にあんたを嫌いになっていたら、俺に変えてまで存続はしないだろう。…理由はいくつかあるが、本来なら無言で消える奴だからな。
加州から俺に変えたのは…乱が落ち込む原因となったのが、加州清光の存在だからだ。事の原因を知ってなお、見ないふりをして来続けるのは居心地が悪い。ただそれだけだ。――一途にあいつを思いやる気持ちは伝わっていた。だが、執着し過ぎるのは危険なことも知っている。自分を支える柱がなくなった時も脆さもな。…加州とあんたは似通ったところがある。立ち直れる強さも持っているはずだ。
容姿はいくらでも変わる。だが、変わらない部分だってある。それは根本的な部分、中身だ。加州という大きな存在がない今なら、光忠や貞、宗三、山姥切にもしっかり目を向けられるだろう。表面や形だけの好意ではない、その存在を大切にする日が来ることを願っている。
長々と悪かったな、狐。…その焼いた油揚げに醤油を少し垂らすと美味いらしい。( ぽそ )それと、確かに大阪城98階周回は捗る。( こくり )
――言うべきことは言った。俺は帰るからな。( ひらり背を向けて出て行き )
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