匿名アンドロイド 2018-06-15 16:20:22 |
通報 |
なるほど……ああ、余計な世話を。
(真っ直ぐ見つめられればそっと視線を外しながら、自分の生活環境のことを吹き込んだ知人に小さく悪態をつく。前の助手が出て行ってからどれぐらいだったか、とにかく随分と時間が空いたことは確かであり、それはつまり掃除は行き届いていないということだ。応接をする事務所はともかく奥の自室は物で溢れていることに違いなく、正直そろそろどうにかしなくてはと思っていたのだ。掃除を苦手とする自分にとって又とない申し出ではある。が、彼女は教えなければノックすらまともにできず、機械らしく柔軟性もない、その上突然カノンを歌い出すようなアンドロイドだ。掃除と称して力加減を間違えて物を壊したり、必要なものまで捨てられたりしては堪らない。うっかり指示の仕方を間違えれば彼女はやりかねないと頭の片隅で警鐘が鳴る。不安げに視線を向けては不承不承と行った様子で口を開き)
今は物を分類するだけにしてくれ、捨てるものは僕が確認する。……やって欲しいのは奥の部屋だ。いいか、くれぐれも物を壊すんじゃないぞ。
トピック検索 |