匿名さん 2018-06-10 21:12:24 |
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爆豪
……、む
( 自分がしでかしたことだと言うのに当の本人呑気な様子で、上の方で何やら慌てふためいているような奴の声がして、ようやく瞼が開いた。一瞬周りが暗すぎてここは何処なのかとも思ったが、所々から光が差していたり温かさは依然として消えていないことから布でも被せられているのだろうと寝起きのポンコツ頭が納得する。眠気は既に消えていて二度寝をしたいとは思わなかった。寝ぼけにかまけてここまで距離を縮めたことに甘え、もう少しだけ、例え許されなくてもこのままでいたかった。暗闇の中でそっと控えめに手を伸ばす。何か、恐らく制服のシャツと思しき記事に指先が触れて、軽く掴む。まるっきり自分が自分ではないようだった。俺はこの女の目の前にいると自分らしくいられない。共にいる時が多くなる度に自分が弱くなっているようでやりきれない。俺は強く在る必要があるってのに、コイツは何も知らないふりをして。そうやってまた零れるのは弱音で、情けない。「…すきだ」こんな形で思いを告げるなんて卑怯者のすることで、正しくはない。だが奴の顔を見たら、本当に俺達はどうなるのか、分からなかった。これで声がこもって上手く聞き取れなかったと言われたらどうしようもないが、その時はその時で良いような気もした。それほどに今は気持ちが吹っ切れていたのだと思う。すこしだけ、シャツを掴む力を強くして。 )
耳郎
ああ、さっきの? 別に大したこと話してたわけじゃないよ、今度は一緒に回ろうなって言われただけだし…。
( なんだ、見てたのか。全然気が付かなかった。改めて耳打ちと言われると流石に若干気恥ずかしい。別に変なことしてたんじゃないから何もないよって言えばそれだけなんだけど、軽く親密な関係に見られてもおかしくない図だったのかもしれない。ってところで上鳴もそういう風に勘違いしてたりと思考が一つの可能性を導き出した所で、何となく声が小さくなって、どんな顔をしたら良いのかも分からなくなった。ウチらには何も無いのは本当だけど、それを主張すればするだけ信じてもらえないような気がした。もともと変に距離が近くて、って話した方が良いんだろうか。いやいや、好きな人相手にそんな他の男子の話なんてしたくない。うーんと考えていると、何だか上鳴の表情が印象的に見えた。なんでかな、笑顔は優しいんだけど、なんとなく固い。そういう顔もできるんだって初めて知った。ふと気が付いたら上鳴の顔ばかり見ていて。 )
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