ぽ 2018-05-28 00:29:23 |
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(客が去ったあとの後片付けのために源は自分との会話を中断し、先ほど学生らしき常連客がいた場所へと移動する。体をひねり片付けの様子すら見逃さぬよう眺めていたが、片付けの最中、源は優しげに微笑んだ。言い様のない黒い感情が胸に沸き上がる。明らかに不機嫌な表情を浮かべると空になった席をきつく睨んだ。そうやってあのおじさんは誰彼構わず愛想を振りまくのだ。そんな大安売りしている感情なんて何の価値もない。何の価値もないはずなのに、酷く、先ほどの常連客に嫉妬していた。ちょっとくらい自分よりさきにこの店に来るようになったからなんだと言うのだ。あいつだってきっと、にこやかに笑う源しか知らないはずだ。自分は源の隠された顔を知っている。それを引き出すためにこうやって毎日この店に来ているのではないか)
…そう、それそれ。僕が知りたいのは源さんのそういうとこだよ?アイドルみたいに愛想振りまく君じゃなくってさぁ、いろんなことにイラついて悪態ついてるとこ…ただ僕を子供扱いするのは見逃せないな。僕は源さんと対等な大人だよ?
(『子供』と呼ばれた瞬間に片眉がピクリと動きより一層不機嫌さは増したようだったが、その怒りを一瞬だけ納めて煽り返す言葉を投げつける。だが怒りを納められたのも数秒のうちでやはり子供扱いされるのが気に入らないらしく噛みつくようにいいながらカウンターに手をつき上半身を源の方に近づけた。子供扱いされていてはいつまでも相手に近づくことなんてできない。もっと相手のことを知りたくて、もっと近づきたくて、あわよくば触れたいとさえ思うのに『子供』という烙印は相手から自分を拒否されているようで我慢ならないのだ。ムキになって反論するそれこそ子供の所業だが、素直に気持ちを伝える術を持たない翔琉はこうやって自分の想いを歪にぶつけることしかできないのだった)
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