悪魔 2018-05-21 14:45:41 |
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俺がうまそうに食事をする時は…貴方のキスが必要ですからね。
(急いでパンを頬張る相手、一体何を想像したのやら心の中で微笑みを浮かべつつ表情は先程とかわらない。もぐもぐと咀嚼する相手のその姿は頬袋に餌を溜め込んだリスの様で、クスクスと含んだ笑みを零しながらも「ゆっくり食べてください。」と言葉を投げかける。窓から少し除く光に目を向ければ太陽は段々と登っているようだ、「おっと…そろそろお仕事のお時間じゃないですか?街の子供達が貴方を今か、今かと待ってる筈ですよ。」ザックとのほのぼのとした時間は一生続いて欲しいほど幸せなものだが、神父としての彼の1日はとても忙しい。教会へと訪れる街の人と神への祈りを捧げたり、街で待っている子供達への元へ行き…時間を知らせる鐘を鳴らしたりと多忙なのだ。街の平和を守るだけではなく、神父として街の人達との交流を深める事も神父にとって必要な事。急いで用意しておいたお弁当をバスケットに詰めて、動物の皮で作られた水筒には新鮮なオレンジを絞った果実のジュース。日の下にで活動するには甘いものを用意したそれらも加えて、神父へと手渡す。「今日も頑張って…」紡いだ言葉は途切れ、その代わりに軽いリップ音が響いた。口の端にそっと落とすようなキスは毎日務めに精を出す彼への餞別。そのままぎゅっと優しく抱きしめれば腕の中でじわりとほのかな温かさを感じた。ポンポンと背中を叩きまるで赤子を宥める様な仕草だが頑張っている彼へこの行為が、1番伝わる筈だ。ゆっくりと身体を離せば、パチッの指をならす。悪魔は陽の光が苦手だ…昼間彼の傍で付き従うためにこうやって魔法で猫に変身してお供している。耳をぴくりと動かせばするりと長い尻尾を彼の足へと絡ませれば、にゃおと短く鳴き声をもらし、出入り扉の方へとゆっくり足を運ぶ。尻尾をゆらゆらと優雅にゆらしながら今から街へ行くのだ。きっと今日1日もいい日になると信じて。)
────さぁ、いきましょう。
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