悪魔 2018-05-21 14:45:41 |
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…やはり祓魔師の名は伊達ではありませんね。貴方が初めてですよ、とても強情な人だ…。
(真っ暗な闇の中、ヒヤリとした独特の冷たさが自身の首元から感じた。無機質な冷たさのそれは先端が鋭く尖っており今にも自身の首を掻き切ってしまいそうな、束の間に当てつけられたそれは先程丸腰になっていた筈の神父が握っている物。自身の言葉でひどく取り乱していた彼は、威嚇をする猛獣の虎の如く鋭い、殺気で満ちている。すぐさま自身を殺そうとしないのは、まだ自分に疑念があるからに違いない…、神父の言った願いは、村人の安全な暮らしと悪魔達からの魔の手から守り抜く事。魂の沢山集まる、村や町は我ら悪魔にとっての最高の餌場なのだ、だがこの村は規模があまり大きくなく担当の悪魔は自身のみ。片手を自身の顎に添えながら、深く考える素振りをする事約5分間。まだ、暗い視界の中先程と同様に、まだ首元で存在感の放つそれをもう片方の手で掴む。生憎相手は、警戒心がMAXな状態で、固く握られているそれはビクともせず…ならば。と刃の部分をわざと掴む。ギリギリ、と刃が手にくい込む感覚に、目を細めれば手のひらから肘にかけて赤い鮮血が滴り落ちていく。そんな事など一切気にせず、相手へと目線を注げば。「では、その願い叶えて差し上げます!、村人の安全をこの大悪魔グレルが守る事を此処に誓います。勿論、貴方の魂を取ったりしませんし、村人達の魂も食べたりしませんから……。」パチンと、指を鳴らせば一つのマジックかのように現れた白い薔薇の花。1輪のその花は見事な白で、赤子の様な無垢さを兼ね揃えていた。そんな花に、先程流れた血を1滴その白い花弁へと垂らせばじわりと広がる赤。垂れた場所から、一斉に広がり数秒の内に、赤黒い薔薇へと変身してしまった。それは、悪魔が悪魔同士で強い約束を契る時にする方法で、本来人間と契約する際には行わないのだが今回は、特別なのだ。相手の魂も取らず、餌場である村人達の魂さへも取らない、自身の担当地区以外の魂を食う事は固く禁止されているため、この契をしてしまった以降自分は、食事を取ることが出来なくなると言うことである。飢えとの戦いとなる事は、重々承知している。そこまでして、この願いを叶えるのは相手への愛情故の行為。又もや、大きな音を立てながら包んでいた翼を広げる、途端に明るくなった視界に再び鮮明になった至近距離の、相手に、恭しく頭を下げれば、スっと薔薇を差し出して。「…私は、貴方の盾となり矛となり貴方を守り、そして村の人々を、守ることをここに…。この薔薇を貴方が持っている限り俺は、この誓を破ることは無い。だから、俺を貴方の側へ置いてください。」子犬を連想させる少し、悲しげな表情をしながら上記を述べた。後戻りの出来なくなってしまったこの状況、だが何故だろう自然と後悔は無く。只只、神父様のお側に付くことだけを考えて……。)
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