双子の片割れ 2018-04-27 17:47:10 |
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へーえ、探検な。…確かにこれだけ現実と離れた空気感なら有り得なくも無いんじゃない?( 見下ろしていた視線は僅かばかり上を向いた頭のお陰でばちり、と合うことになり。予想の斜め上をいく彼女の思考回路、返答を想像したところで非現実的な自身では考えつかない答えが返ってくるはずだ。そう身構えていれば案の定、と言った返答を耳が捉え。普通に考えれば有り得るはずの無い夢物語。然しこの鬱蒼と立ち並ぶ木々やパーティー会場から離れた静かなこの場、幼い頃から聞き慣れた妄想全開の世界観が刺激されるのは致し方の無い事。それを真っ先に否定するのが平素通りなのだが、あの人の多い場に連れ戻されるよりかは一緒にこの周辺を歩いている方がマシである。やれやれ、とでも言いたげに首を小さく左右に揺らせば手に持っていた半分程中身の残ったグラスを柵へと乗せ。鬱陶しい片側の横髪を耳へと掛ければ、小さな段差から地面に降り立ち。恐らく傍から見れば現実主義な己が発するにしては珍しい程のノリ気な発言、双子である彼女は可笑しいと感じてしまうであろうか。両親の知人とは言え他人の家の庭、勝手に探検をして許される年齢では無い事は承知している心算。然しながら自身が人気の多い場を好んでいないという事はこの家の住人も知っている筈、ならば人の少ない場で見つかった所で何ら文句は言われないであろう。そう思えば相手の方へと体を向け、後ろ向きに会場とは反対方向へとゆっくりとした歩調で歩き始め )ほら、行こう。
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