荘厳な城内は幾十もの宙に浮かぶ蝋燭に彩られていた。 玉座を降り、壁に造られた大きな鏡の前へ立つ。 魔族の僕は千の齢を生きるが姿は若い青年そのもので、背丈は180を優に超える。 薄い白金の髪に菫色の瞳。 透けるような肌に紅い唇からは鋭い牙が覗いていた。 細い指の先には鉤爪があり妖しく光っている。 鏡から目を逸らし、訪れた者を見て不敵に微笑んだ。