◆ 2018-04-03 00:00:02 |
通報 |
>Noah
うん、やっぱり落ち着く。でも――意地悪、しすぎたかな。本当に…どうして彼はこんな奴が良いんだろう…
(――周囲をぐるりと見渡し最善の注意を払いながら仮面を付ければ、久しく思える親しい暗闇に自然と口角も上がり一息を吐く。けれど、繋がれた鎖から抜け出したというのに慣れぬ圧からの解放に安堵の光が灯るどころか、偽りの笑みでも晴れぬ何処か拭い切れぬ影が暗雲のように心中に広がり、雨音一つ落としてこない空へと目を向けて。彼の事だから蛻の殻の異変に驚嘆の調べを忙しなく踏み鳴らすかと思いきや、ゆらゆらと遠ざかる足音を最後に追手の一つも寄こさない手の平返しに、都合の良い欲に振り回されては戸惑いと寂しさが込み上がり。…願ったのは己のはずなのに。期待を裏切っておきながら、期待している己に辟易してしまう。静寂な会場で回った毒を抜きつつ今一度与えられた契りの跡をなぞり、刻まれた想いの丈を噛み締めれば臆病な足は一夜の舞台を足早に越え、整頓されつつも健闘したであろう痕跡が見受けられるキッチンの前に立ち。何処までも先を歩く彼の背を浮かべながら材料を揃え下準備を済ませると、適当な器へとお気に入りのビスケットにエスプレッソを染み込ませ、滑らかに仕上がったクリームを流しては形を整えココアパウダーを振るう。それを愛しの名のみを書いたカードを添えて冷蔵庫へと仕舞いつつ、恐らく彼のであろう冷えたコーラを拝借し、手がかりも残さず人気の無い場所へと身を潜めることにして。…彼にはまだ、会いたくはない。顔を見たらまた甘えてしまうのは容易に想像できる。だから日頃の礼を兼ねたデザートを置いておくとしよう。きっと紅茶ともよく合うだろうから。ほろ苦くて甘い、秘められた僕の想いが。)
まともな料理なんてしたことないって、言ってたのに……。キミはどれだけ頑張ったんだろうね。――気付くかな。気に入ってくれるといいけど。…ごめんね。愚かな僕を許してくれるなら、もう少しだけ……、…。
トピック検索 |