◆ 2018-04-03 00:00:02 |
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>Leone
……レオーネは、優しいね。…本当に、どこまでも…。
(…どうして、そんなにも痛ましげな顔をするのだろう。諸々へのようやくの理解に至り謝罪を口にすれば、予想に反する声音の柔らかさと不可解の表情に思わず戸惑いの色を浮かべ。施された身に余る慈悲に深く頭を垂れこそすれ、よもや怒りなど沸こうはずもない。むしろ拒絶の返答が当然だろうと、暖かな旋律へ素直に膝をつき縋り付かんとする衝動を抑え、返って必死に己への暗色を探すも叶う事はなく。いよいよ困惑を深め心を揺らがせた後、ややあって微かに震える瞳を眼前の紫と恐る恐る交じ合わせては、硬い表情筋と結ぶ口元を僅かに緩ませ礼の言葉を。そして、“……だから、俺みたいなのにつけ込まれちゃうんだ。” 彼が抱いたに違いない己への嫌悪を上塗りし、気遣いの言葉を吐かせたのは果たして過剰の罪悪感か、それとも我儘への恩義か。どちらにせよ、彼にそんな顔をさせたくないと、あの日確かに願った望みと酷く相反する現状に俯き、数多の色を醜く煮詰めたような掠れ声がフード奥に小さく落ちる。錯綜する胸中の彩りを一瞬閉じた瞼の裏に覆い隠すと、此方も彼に従い平生を取り戻すべく、いつもの暗色の瞳をゆるりと開き直し。「――っそ、そうだよね! こんな所に倒れてたくらいだし…気が利かなくてごめん、すぐに…ッ! …ええっと、ご飯はドアの所に置いてあるから…あっ、いや…ちち違うまずは君を…っ」先の心臓に悪過ぎる触れ合いや自覚して早々の失恋に少々頭が別方面へすっ飛んでいたが、冷静になればあれだけの錯乱を見せる程の彼の酷い病態に今更ながら泡を食い。未だ心中に影を差す想いは病身への憂慮で無理矢理に封じ込み性急に腰を上げかけた所で、いや食事の準備ではなくまず彼をベッドに戻さねば、などと手際悪くわたついた末ようやく彼の片腕を己の肩に回して。例の如くスマートにとは全くいかないものの、どうにか肩を貸し彼を柔らかなベッドへ横たえ終えると、次に先刻乱暴に置き捨てたトレーを寝台脇のテーブルへ運び、スープの入った器のみを手元に引き寄せて。湯気の立つ中身をスプーンで掬い取り、数度息を吹きかけては、微塵の躊躇も疑問もない懸命な面持ちのまま、お約束の言と共にそっと相手の口許へ差し出し。)
……あ、ちょっと待って、このままじゃ熱いから…――はい、…あーん。
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