青年A 2018-03-12 23:09:29 |
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(随分と長い間悪意の無い笑みを見た記憶が無く眼前で笑みを湛える朗らかな表情に目を奪われ思わず釘付けとなり。すっかりと顔を出した朝日は清々しさがあり、彼の笑みと背景は恐ろしく似合ってより一層輝いて見える。唐突であろうと悪い気はせず寧ろ胸元が擽ったい感覚に陥りそれに気が付き少しばかり早まった動悸はあっという間に頭部に血を巡らせて耳元まで赤く染め。「蒼瀬、…真尋。さん?くん…?」影の多い車内で火照る顔を隠そうとはせずまじまじと表情を眺めながら己と同年代の男性よりも若干若く見える顔付きをついに問い掛ける事に成功し、又もやバクバクと動悸の早まる胸元を感じては己を落ち着かせるべく何度も小さく深呼吸を繰り返して。思えば彼は己を攫った身、こんなにも容易く名を明かす理由の一つして計画性無く衝動的な犯行だったのかと脳裏の片隅でふと思い至り、続け様に言葉を紡ごうと唇を開くが言葉は喉元で止まり代わりに出てきたのは誤魔化しの言葉で)…わ、私は黒柳瞳美、です。瞳と美しいって書いてひとみ。
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