青年A 2018-03-12 23:09:29 |
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(何かまずい事を言ってしまっただろうか、続く沈黙は全身に纏わり付く空気を鋭利な刃物にし疼痛となる。始まりを告げる鮮やかな夜明けの空を背後に居た堪れない気持ちとなり視線が合わさる彼の様子を伺って次の言葉を待つのに数時間も数日も時間がかかったように長く感じられ。___重なる掌の温もりに己が思考の溝へと落ちていた事に気付く。筋っぽい手の甲や指の形は男性らしさも見られるが久しぶりに触れた人肌は随分と温かくて柔らかい、通常ならば見知らぬ男性に触れられる事は恐怖にしか感じないのだが彼は不思議とそうはならず。但し次に聞こえた問い掛けに心臓を射抜かれた感覚と緊張の故に身を強張らせてぶわりと掌に冷や汗が浮かび。「泣いたのは…、___迷惑でしたよねいきなり。自分でも良く分からなくて…変な話ですが全てが温かったというか、何故でしょう…」必死に抱いた感情を言語化しようと試みるがそれ以前に幼児のようにみっともなく泣き散らしたのは正に赤っ恥。生涯恥じる事になるであろう失態の一つであり、顔色を赤くさせたり青くさせたりと分かり易く動揺し終いには苦笑して肩を縮こませ。自らが唇を閉ざした事により再び沈黙が訪れれば暫し眼前に広がる波の単調な音に耳を澄まして。)_____…あの、名前、聞いてもいいですか…?
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