青年A 2018-03-12 23:09:29 |
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あっ…、いや、あの、私怒っていませんし、…け、警察に連絡もしませんからッ…!
(温厚で柔らかい雰囲気を醸し出す彼が誘拐を試みるなど想像も付かないがその瞳の奥深くには底知れぬ深海が広がっているかの様に暗く無に近しいものを感じ取り。何故だか然程恐怖に思う事は無く、寧ろ己と似た寄った心境を抱えている様に思え眩しい光を浴びて煌めく彼を見つめる瞳を細めて。驚愕したのは肯定された事実よりも己よりも大きな身体を精一杯縮こませて有りっ丈の謝罪を口にする姿で、心臓が何者かに蹴られた衝撃と共に動悸は駆け足となり狭い車内で慌てふためき試行錯誤した結果、自身もシートの上に両足を乗せて正座をすると遠慮がちに彼の両肩へと手を置けば屈曲した身体を伸展させるべく後方へと押し上げ。良く見ればまだあどけなさの残る顔立ち、正確な年齢までは把握出来ないが二十代そこそこだろうか、犯行に至るまでの経緯で余程の“何か”があったのだろうと言葉にせずとも察する事は可能でこれ以上の罪障意識を負わぬように辿々しく言葉を連ねて「…わ、たしは帰る場所も待ってる人もいないから、丁度良かったの。もうこの世に未練なんて無いし、ね…?」子供をあやすようにゆっくりとした口調で肩から両頬へと掌を滑らせれば此方を向いて貰おうと顎あたりで少し力を入れて、自身もやや前屈みとなり。忸怩たる思いは自らを潮笑し、眉を下げたまま彼の瞳を捉えようと首を傾けて)
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