どうぶつ 2018-03-08 01:10:52 |
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(彼女の手慣れた説明が右の耳から左の耳へ淀み無く流れていく。人間同士の言葉の交渉、そこに入り込むことの出来ない己がするべきことと言えば、それはやはり無害さの演出に尽きると言えよう。持ち前の性格上猫を被ってぶんぶんと尾を振り回す、なんて醜態を晒すことはプライドが許さないが、こうして大人しく座り込み両耳を寝かせているだけでもなかなかどうして好印象を抱かれるらしい。相棒が此方を見るのに合わせ目線をくれてやれば更に良い、同じ獣でも意思の疎通が可能か否かでは信用の度合いが随分違う。…とまあそんな風に考えながら様子を窺っていたのだが、どうやら全ては杞憂に終わったようだ。土色の彼は此方の話を聞き終えるや否や、腰の無線に二言三言話しかけただけであっさりと入国の許可を下ろし、その上満面の笑みで歓迎の言葉まで寄越してくれた。聞けば既に話は通してあるそうで、役所に行けば大部屋のある宿舎の紹介と食事の案内を受けられるとのこと。普通ならこの待遇に"友好的で人の良い国"とかいう判断を下すのだろうが、己が出した評価はそんな好意の一切を無に返すような"砂にまみれた警戒心の薄い国"。しかしまあ、この国に辿り着くまで吹き荒れる砂埃に散々苦労をかけられてきたのだ。ここで素直に饗されるのは悪くないどころか最良の選択だと思える。隣の相棒がはたして何を考えているのか、そんな事など気にも止めない様子で自分の意思を主張するよう眼前の家々に瞳を移しすっくと立ち上がって。)
(/そうですね、話し合いが必要な場面があれば再びお声を掛けさせて頂きます…!此方こそ、何卒よろしくお願い致します!✦蹴り可)
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