《聖母マリアの孤児院》人数制限有/特殊

「いーい？化け物呼ばわりする連中には”鏡見てから物言いな”って言ってやるのよ、茹で上がった不細工の顔より面白いものなんてないんだから。顔が悪い奴は口も悪いから不思議よねぇ。」

「あんたもあいつもジョセフもシスターも好きだから、大好きだからキスして抱き締めたくなるの。それのどこがいけないの？地獄行きでも上等よ。人を愛せってうるさいくせに愛しすぎるのは罪なんて、童貞臭い寝言に付き合ってやるほどあたしは暇でも優しくもないってイエスに伝えてやってよね。」


名前/スカーレット•ミラー(Scarlet•Miller)
年齢/１８
性別/女

容姿/綺麗にカールした血のような赤毛と勝ち気なつり目のエメラルドグリーンが目を惹く少女。胸半ばまで伸ばした髪は一般的な女性のように纏めたり布を被せたりせず、ふわふわとしたボリュームを誇ってリボンで飾ったハーフアップに。前髪も短く切ってくるりと額にかかる程度に巻いてある。肌は透き通るように白く、唇は薔薇のように赤く、襟を大きくくったブラウスから丸い胸を覗かせるその姿は大人顔負けの妖艶さ。派手好きで赤にギンガムに花柄にとにかく鮮やかな服を望み、折角神父が買ってきてくれた服も丈をざっくり短くしたり、ペチコートで何重にも膨らませてようやく着たりと散々な着飾りよう。164cmと平均的な背丈にまで不満を持って踵の高い編み上げブーツを履く目立ちたがり屋。と、良くも悪くも華やかな風貌だが着飾るのをやめれば印象がガラリと変わる。髪はコテで巻かなければ貧相なストレート、肌も白粉を落とすとコンプレックスの赤く焼けた頬が露になり、美しい女性から年相応に可愛げのある少女といった雰囲気に。体つきもコルセットで凹凸を作っているだけで本来は華奢なほう。女らしいか娘らしいかといった違いしかないものの、本人は素の姿を地味だと嫌い、身支度中や風呂上がりの姿を見られると機嫌を悪くする。

性格/神の教えも淑女のマナーもくそくらえと、どこまでも心のままに好き勝手振る舞う型破りな問題児。常識にとらわれずとことん自由で、１度何かをしたいと思い立てばルールや他者の都合などお構い無しな自己中心的とも言える奔放さを持つ。年上らしく子供たちの世話を焼くことも多いものの、それだって優しさから面倒を見ている訳ではなく、ただ自分がじゃれつきたいから手を出しているだけという自分本位な構いたがりの構われたがり。その証拠に手伝いの途中でも余所に興味を惹かれればひょいと投げ出して楽しげなほうへ行ってしまう根っからの快楽主義者でもあり、気付けば②ダヴィーの悪戯に一緒になって遊んでいるのが常。こんな風に彼らによく懐いているわりに会話に毒っ気が目立つのは悪意があるわけではなく育ちの悪さによる悪癖。ただし心無い巷の人間には減らず口を黙らせるための猛毒を吐く。そんな神をも恐れぬような性格でも１つだけ怖いものがあり、それは他ならぬ家族たち。目に見えない絆や愛情等には馴染みがない分懐疑的な面があり、彼らを好いているからこそその気持ちが伝わっているのかどうか不安に襲われることも多く、それ故にキスやハグといった肉体的な愛情表現に頼りがち。つい癖で愛情表現の域を越えかける時もあるが現時点ではあくまでただの癖。ちなみに男女どちらも誰でも愛せるバイセクシャルながら、無意識に母親の存在を求めているのか、どちらかといえば遊び相手は女──それも年上や優しげなタイプが多く、教会でもシスターなど女性には心無しかべたべたと甘えがち。

備考/愛称は「レティ（letty)」。一人称は「あたし」、二人称は呼び捨てか「あんた」とやや品がないものの口が悪いというより上品な英語を知らない頭の悪さが原因。学は無いが流行りと噂にはめっぽう強く、読み書きもゴシップ誌で覚えた。
貧民街の娼婦が不運にも孕んだ赤ん坊というごくありふれた出生で、望まれぬ子として１度たりとも母親に抱き締められたことはなく、商売の邪魔にならぬよう押し込められたクローゼットの隙間からその腕に抱かれる客を羨んでいたのが覚えている中で最も古い記憶。そんな思い出が根本にあるからか未だに人に甘える際は抱擁をねだる癖がある。他の娼婦の気まぐれとちょっかいによって生き延びたようなもので、母が病で死んだ後は自然と彼女らに交じってその真似事をするように。それも決して苦ではなく、むしろ親の愛の欠落によりぽっかりと心に空いた空間をひとときでも満たせる密な触れ合いにいつしか依存するようになる。その証拠に金銭的な問題がなくなった現在でも夜遊びを止める素振りはなく、老若男女身分を問わず求め受け入れる幼さに似合わない爛れぶりからついた悪名は星の数ほど、「売女」「雌犬」といったオーソドックスな侮辱から「淫魔」「悪魔」と恐れを含んだ軽蔑まで多種多様。本人は合意の上での遊びなのだから悪魔も何もあったものじゃない、と平気な顔をしているが、それが教会の評判にまで響けば話は別。自分の悪評が仲間の差別にも繋がるのなら大人しくしていなければと思う気持ちと、それでもわかりやすい愛情を求めて夜な夜な街へ繰り出してしまう浅ましさの間で葛藤することも時にはある。ならば教会を離れて好き勝手生きればいいじゃないかと言われることもままあるが、それができないのはそこにしかない家族というものに焦がれているから。

ロルテスト/
「孤児院に初めて訪れた時」

教会。ねえ、あたしの生まれたとこもホワイトチャペルっていうの。人も家も煤だらけで真っ黒だし、誰もお祈りなんてしてなかったけど。
（男の腕にしがみつき、はらわたのように生臭く張り巡らされたスラムの路地から澄んだ風の吹く郊外へ。濡れた手で握る黒い服はスラムでも金のある者が死んだ時にやってくる神父のそれによく似ていた。神に仕える人間が女を買うなど、今に天罰が下るのではないかといつ雷鳴が轟いてもおかしくない空を見上げるが雨風を凌げるなら何だって構わなくて。雨霧の向こうに現れたのが孤児達も恐れる魔の教会でも、薄い肩を濡らしてまで自分を傘で守ってくれる紳士から離れていく理由にはならず。甘えた声でおしゃべりを１つ、冷えきった頬を寄せながらそびえ立つ門を潜り、古びた木の扉に促されるまま身を滑らせて──気付けば床に転がっていた。押し倒された訳ではないと、見上げた彼の青ざめた表情と痛む後頭部、そしてどこからかキャッキャと響く笑い声によって理解できてもしばし呆然と寝転んでいることしか出来ず。やがて駆けてきた小さな足音の主が自分の犯行と得意げに細工をしかけた床を指差すが、驚いたのは悪戯そのものではなくその存在で「──ねえ。ここって本当に孤児院なの？」何も本当に化け物が住むと信じていた訳ではない。けれども真っ当な孤児院であるとも信じてはいなかった。故に一晩の相手として着いてきたのだと、あたふたと抱き起こされながら真っ直ぐな疑問を零し。返答を得るより先にタオルを持った修道女までもが訝しげな顔を覗かせ、そこでようやく『一緒においで』という神父の言葉がただの誘い文句ではないことを知ると図太いと評判の心にもふっと動揺が滲み出て「……あたし、もう13歳だし、子供じゃないのよ。それでもここに居ていいの？」修道女に優しく髪を拭かれてしまっては、今更冷たい雨に打たれながら薄汚い街まで戻る気力も湧かず。後々やっぱり出て行けなんて無しよと、まるで父親と母親のように微笑んでこちらを見下ろす２人を交互に見つめ返し）


「孤児院に来てから暫く経ち慣れた頃」

──なあに神父様。あたしの顔に何かついてる？……あぁわかった、朝の挨拶ね。
（夜通しロンドンの街へ出て遊び、騒ぎ、酒を飲み、パブで引っ掛けた行きずりの部屋で一眠り。未だ残るガス灯の火が消えないうちに教会へ、というのが近頃の生活。朝帰りならばわざわざ早起きして化粧をしなくて良いのだから一石二鳥と気に入ってはいるものの、今夜のように婦人と戯れた後は香水の残り香や深紅のキスマークに注意を払わなければいけないのが些か面倒で。ひとまず寝間着に着替え、他人の匂いを流すべくまだ薄暗い廊下を蝋燭の灯りを頼りにひたりひたりと静かに進み、角を曲がれば浴室というところで現れたのは最も出会いたくなかったカソック姿。驚いた素振りを見せぬようぴんと表情に力を込めて”おはよう”と笑顔を見せるが、また少しクマが濃くなった気のする青白い顔は何か言いたげにこちらを見下ろしたままで。抜け出したことがばれているのか否か、探るようにその目を覗き込みながら呼びかける『神父様』という言葉が何かを媚びて誤摩化す時に口をつく悪癖と自覚せずに恍けては、さも大切なことを思い出したという表情で頬に軽くキスをして。この頃身につけた米国式の挨拶は使い勝手が良い。挨拶だと言えば聖職者や照れくさがりの子供達にも拒絶されることはなく、こうして手軽に驚かすこともできるのだから。）
唇はとっといたげる。イエスの親ならマリア様だってバージン好きかもしれないでしょ？テーソウを捧げるならあんな年増よりあたしのほうが良いと思うけど、神父様が神父様でいられなくなったら呼び名に困るもの。
（べったりと刻まれた口紅のスタンプにこみ上げる笑いを隠そうともせず、品のない毒と冗談と共に唇から零しつつするりと傍らをすり抜けて。途中で呼び止められないために角を曲がるまで口を閉ざさぬよう気をつけるのも忘れずに）
じゃあ、あたしは忘れないうちにシスターにもキスしてくるから。朝食までもう一眠りしてきたほうがいいんじゃない？その顔色じゃ本当にただの化け物よ──おやすみ、ジョセフ。


（/大変お待たせ致しました！>22の者ですが、せっかく延長をお願いしたものの、お返事をお待ちしている間にPFが完成致しましたので提出させていただきます…！幾度となく我が儘を受け入れてくださって本当にありがとうございました。お時間を頂けたお陰でイメージした⑧ちゃん像をたっぷり詰め込むことができたので、不備や問題点なども含めてご検討よろしくお願い致します。またロルだけでは伝わりづらいかと思いこちらで補足させていただきますが、孤児院には５年程前に連れてこられた比較的古株という設定を考えております。長々と失礼致しました！）