ほのか 2018-02-25 17:46:31 |
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しかしあてのないまま走り続けていたせいでポルシェのガソリンメーターがE(empty:空)を指しつつあった。
『どこかのスタンドでガソリン入れなくちゃ・・・』
と思いながら走っていると、待っていたかのようにガソリンスタンドが見えてきた。玲奈はポルシェをガソリンスタンドに滑らせ、エンジンを止めた。しかし店員は出てこない。
『・・・セルフスタンドにゾンビ店員が出て来るはずはないわね。拝借じゃなくて完全に泥棒だけど、ハイオクガソリン満タンいただき!』
と、ガソリンノズルを手にとってポルシェの給油口にハイオクガソリンを注いだ。給油が終わってエンジンをかけ、先へ進もうとアクセルを踏んだとたん、ガソリンスタンドのコンクリートがポンっとはじけた。
『何!?』
とブレーキを踏むとさらに3度コンクリートがはじけた。しかも全てが1列にきれいに並んでいる。
『ね、ね、狙われている!』
玲奈の背筋にぞくぞくと戦慄が走った。コンクリートが4回はじけて狙撃が止まったので恐る恐る頭を上げると、1km程先の正面左側のビルの屋上からキラキラと光が差している。鏡のようなもので太陽の光をこちらに向けて当てているようだ。
「ちょっと~~~~もうこんなの、アクション映画だけにしてよ~~~~。ん?」
玲奈は思い直した。
『アクション映画?もしかして、悟にインストールされてたやつ?』
反射光は、一筆書きでハートのマークを描いている。
「もう!悟のバカったら!」
玲奈はポルシェのアクセルを踏んで10分ほど進み、ビルの前で停めた。しかしそこで待っていたのは、大きなサイトスコープを付けた長銃身のアサルトライフルを担いだ、悟より20cmは背の高い男だった。
「オネーサン、ガソリンドロボウ、ヨク、アリマセーン。な~んて!」
「あなた誰?さっきのもあなたなの?」
「Certainly yes!でも、普通に日本語分かるよ!」
「で、あなたは一体何なの?ここで何してるの?」
「ワタシモ、ワカリマセーン!でも・・・。」
「でも?何?」
「識別用に、デイヴィッドとだけイッテオキマース。」
『識別用?』
玲奈は、白のレクサスの中での会話を思い出した。
『このデカい外人もHWなの?そうとしか言いようがない。』
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