ほのか 2018-02-25 17:46:31 |
通報 |
茜と悟と重武装を積んだレクサスは新潟空港のフェンスを突き破って空港敷地内に入った。
「悟さん、空港のどこへ行けば良いの?」
「うーん、人間2人と武器が積める民間ヘリがあればの話なんだが・・・。」
悟は、ヘリコプターで病院へ戻るアイデアは出したものの、空港にヘリコプターがあるかどうかまでは確認していなかった。地方空港は国際空港と違って、どんな飛行物体でも受け入れられる訳ではない。もっぱら国内線の中距離飛行機しか離発着しないのだ。ヘリコプターがあるかどうかは目視できなければ格納庫を1つ1つ開けて確かめるしかない。茜が滑走路をエプロンに向かって走ると、人が手を振っているのが見えた。
「悟さん、誰かいるよ。」
「何!そんなはずは・・・。」
と、言うなり前を向くと空港警備員が必死に手を振っていた。
「茜!ハンドルを切って突っ走れ!」
と指示したが茜は直進してブレーキを踏んだ。
「HWは無防備な人間を危険にさらすことは出来ないわ。人間を守る義務がある。」
と言って空港警備員の前で停まった。
「誰だ君達は?空港内は立ち入り禁止区域だぞ!それに・・・君達はゾンビではないな。何者だ?」
「あの・・・ヘリコプターを貸して欲しいんです。」
「はあ?空港は3時間前から封鎖中だ。君達は一体何物だ?どこのヘリ会社の人間だ?」
「おっさん!答えとワルサーの弾丸と、どっちが欲しい?」
悟は茜に向けたワルサーP38の銃口を、今度は警備員に向けた。
「うっ・・・テ、テロリストか。こ、この空港は3時間前の九州からの便を最後に封鎖している。空港の管制機能も麻痺して、ヘリだろうと何だろうとテイクオフできる状態じゃない!」
「とにかくヘリの格納庫を教えろおっさん!」
「これこれお若いの。物騒なものを出さんでもよろしい。ワシが話をつけよう。」
会話に入り込んできたのは1人の老人だった。
「これだけAKウィルスが蔓延しとると今ヘリ会社にチャーターを申し込んでもムリじゃろ。カネなら後でワシが払いますよって、ヘリを出してはもらえませんじゃろか?操縦免許ならワシが持っております。」
茜は、自分達と空港警備員との間に仲裁に入ってきた老人を見て言った。
「・・・おじさん、何なの?」
「ふむ・・・白いクルマに乗った若い男女と大量の武器。聞いた通りじゃな。」
「何なんだこのジジイ!」
悟は銃口を老人に向けた。
「新潟第一医科大学附属病院で看護師をしとる娘のお友達からの連絡で急きょ先程の便で宮崎県から来ました坂下(さかした)と申します。ワシを病院までヘリで行かせてもらえるのでしたら、後のことはワシがなんとかします。」
この老人こそ、NICUの看護師坂下ゆかりの父親で元自衛隊医官総合臨床医師の坂下良一(りょういち)であった。
トピック検索 |