青春いれぶん！　／　〆.

　霧野蘭丸　／


…どう考えたって 、 お前の方が可愛いだろ

( 彼女以外の他者からの " 可愛い " という称賛の言葉は小さな頃から中性的な容姿故に言われ続けもうそれを言われるのは慣れたつもりでいたのだが 、 やはり男の性なのか 、 彼女には " 格好良い " 自分で居たい という想いがより強く有り 、 だからといって男らしい言葉の一つもかけることは出来ないで居る軟弱野郎だが少しの反撃位なら己でもする事が出来る 。 頼まれた仕事に手をかけつつ照れてしまいそうになる情けない気持ちを押さえ付けながら上記の言葉をかけてやれば 、 何時もは此方が振り回されてばかりだが 今回位は少しは恥ずかしがる様子の一つでも見せてくれるだろうか 淡い期待を抱き 、 任された仕事を失敗しないように手元に視線を送りつつも時々彼女の様子を ちらり と横目で伺い 。


　多田仁夏　／　


…何それ 、 本当?

( 希望を持たせてくれる様な内容が耳に入ると最初こそ冗談を疑ったが相手の様子から察するにその線は薄くそれに気が付けば徐々に脈打つ鼓動は速くなっていき 、 ぴくｯ と反応を示し思わず暫く凝視をする中 、 もう好意を抱いていないなら軽く突き放して貰った方が数倍楽なのになあ 、なんてちょっとした皮肉を心中溢しながらも嬉しい言葉であることには変わり無く心底嬉しそうに口元を緩めて「それ 、 他の子にも言ってたら許さないからね ー 」 そういう言葉を相手にかけられるのは自分だけで良い 、 恋仲では無いもやくやとした関係だがちょっとした独占欲が入り交じり 、 今度は邪魔と一蹴されないように腕に手を回して軽く抱きついてみて 。