魔女 2018-02-13 12:58:54 |
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(/遅くなってしまいすみません。じゃぁ、二人が出会うところから始めましょうか。少年が館に迷い込むところからで。こちらから先に回しますね。)
満月か、随分と赤いじゃないか。
(窓と茨の隙間から見える月は、満月。しかも赤いブラッドムーン。こちらもつられるように目を赤くすると、ユラユラと風もないのに部屋のあちこちある蝋燭の火が揺らぐ。こんなにも月の気配が近いと体の中で蠢く魔力に飲み込まれてしまいそうになるが、それは単なる雑魚。魔力に呑まれ、己を失いやがては自我を失くし、形無きものになった魔女の話を遠い昔母親から聞いたことがある。それは、形を持たぬ魔力の塊で、魔女の心の奥に潜む闇。それは弱みを見せれば己を蝕んでいく。だからこそ、内なる魔力をコントロールし支配する力が必要なのだ、と教わったのを思い出しては、その日もこんなふうに満月だったのを思い出しては、窓にそっと触れてから庭を見て、朽ちることない白い薔薇を見つめながら「お母様っ…」と小さく言葉を漏らしては母親の命を奪い、魔女は死んだと思い込みながら生きている人間をいつか食い殺すと心の奥で恨みを燃やしていたが、こんな森の奥に人間など来ないか、とぼんやりそんなことをおもいながら外を眺めて)
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