リルンの小説~記憶の数々語り~

リルンの小説~記憶の数々語り~

リルン  2018-01-22 22:08:36 
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その名の通りです。
小説のネタを置いて行くだけのトピです。
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下手な小説ばかりですが……w

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  • No.9 by リルン  2018-01-22 22:54:07 

ネガティブ思考症シリーズ 最終弾「ネガティブ思考~決意~」

 この世界は残酷だ。何回も何回もそう思わせ、このようにしか考えられない治療困難な病。そう、これがネガティブ思考症。貴方達の世界で言えば、「鬱病」に近いだろう。でも、この病はそれよりもっと酷い値になる。ネガティブ思考すると同時に、世界はその思いと同じようになり、思考者をもっとそう思わせるという恐ろしい病だ。さらに先程言った〝この世界は残酷だ〟という言葉を使うことで、今の世界が崩れ、新しい世界へと舞台が変わることも最近分かった。世界変化する際の影響はほぼないが、時に何人かが世界変化に巻き込まれ、死に至ったケースもある。実を言うと、私の大切な人……キラルもその一人。変化に巻き込まれ、死んでしまったのだ。影響はもう一つある。それは、世界変化を起こす度に、患者の記憶が一部、無くなること。私もキラルの顔・姿を忘れてしまい、分からなくなったからだ。……え? 何故そんなに知っているかって? ……それは私もその病の患者だったからーー……

 そんな私に仲間が出来た。名前はアミン。ある日……キラルを永遠に失った日から私の傍にいると誓ってくれた。私もキラルやアミンへの恩返しに、アミンの傍にいると決めた。アミンはと言うと、同じくネガティブ思考症の患者だった。彼女は両親からの愛を求め、世界変化を何回も何回も起こしたのだと言う。しかし、両親の愛は本物で、最期に〝愛したかった〟という言葉を聞き、後悔で埋め尽くされたのだと……。しかし、知っているのはこれだけで、アミンの過去について、詳しくは知らなかった。アミンと会ってはや一年になる。そろそろ聞いてみてもいいかもしれない。そう考えた私は、アミンの部屋へ向かった。

 アミンの部屋に着くと、アミンは待っていた。
「! アミン!」
「来ると思ったから。さ、入って」
アミンは笑顔で私の手を引く。私も笑顔でそれを受け入れる。
「トキが何の目的で此処に来たか……分かるよ。〝アミンの過去について聞かせて〟でしょ?」
「! どうして分かったの……?」
「いや、今日でさ私達が出会って一年じゃない? それで、この機会に私の過去を聞きに来るんじゃないかって思ってね。まさか本当に来るとは思わなかったよ」
そう、アミンは微笑みながら言った。
「……うん、アミンの言う通りだよ。でも、嫌だったら話さなくてもいいんだよ!? そんな……無理にとは言わないし……」
「ううん、私はトキにだけ話したいの。私の過去を……知ってほしいの」
「……! アミン……ありがと……!」
「いいの。……少し長くなるけど……いい?」

 前に少し話したことも含めて話すね。私は5歳になって原因不明の病にかかったの。その時からかなー……マイナスに思い始めたのは。そして、私はネガティブ思考症になった。力も使えるようになった。……でも、それから両親は私を避けるようになった。私は振り向いてもらいたくて……それで誰かに教えてもらった、ネガティブ思考症の能力を使ったの。そして願った。どうか違う世界では私を見てくれますようにって。……でも両親は変わってくれなかった。だから、両親が私を愛してくれる親に変わるまで、世界変化を起こし続けたの。でも最後まで変わらなかった。最期に両親は〝本当は愛したかった〟って言って亡くなった。……あの言葉を忘れたことないよ……。……ずっと残ってる。……それを思い出す度、私は何てことをしてしまったんだと……心の私が私を追い詰めた。その時、私は人生を変えてくれた人に出会ったの。その人は私に〝そんなに責めないで。貴方はきっと悪くない〟って言ってくれた。その人の名は、キラル。
「……!? キラル!?」
私は驚いた。アミンの話を聞くなり、キラルと重なっていた。似てるなと感じていたけど、まさかキラル本人だとは思わなかったからだ。
「……! 知ってるの?」
「その人は……キラルは……私の大切な人だよ……!」
「!? どういうこと……?」
「……キラルは確か異世界の看護師。そう、色々な世界へ移動出来るんだ!」
「……! なるほど……」
「……ねぇ、ちょっと待って。どうやってキラルが世界変化に巻き込まれたこと知ったの? キラルはあの能力者の世界変化で……死んじゃったのに……」
「え……? いや、キラルは私の前で、世界変化に巻き込まれて死んだよ……?」
「!? じゃあ、アミンが会ったキラルの特徴を教えて」
「う、うん。確か……髪は少しだけ短めで……前向きだった……かな」
「……うん。私が会ったキラルも全く同じ。キラルが二人……?」
「……どういうことだろう……」
「もしかしたら、私達は名前が同じ、性格も同じ……双子のキラルに会っていたのかもしれない」
「確かに何もかも同じなら、ありえるけど……そんなことって……」
「きっと、二人のキラルは再会を願ってたんだ……。例え死んでから会うことになっても……それでも二人は再会を望んだ。そんな時に、私達と会った。私達を見て、二人のキラルは自分達と重ねた。そして傍にいようと決めた。能力者によって殺された時、二人のキラルは再会したんだと思う。そして、二人とも優しいから……最期に私達にメッセージを送ろうと……。だからあの時、私がネガティブ思考でキラルが来るよう、願った時、来てくれた。それはアミン。貴方もそうじゃなかったかな……?」
私の言葉にアミンは目を見開く。しばしの沈黙。やがて口を開いた。
「……思い出したよ……。キラルと過ごした全てを……キラルの言葉を……。世界変化でキラルが死んじゃった時……それはそれは悲しかった。泣き叫んだよ。そしてネガティブ思考で願った。キラルにもう一度ーー……と。来てくれた。キラルは少し悲し気な顔で微笑んで、〝大丈夫、貴方はもう一人でも生きていける。それに……貴方と似た人もすぐそこにいる。……決して忘れないよ〟って言ったの。そして光に包まれ、消えた。キラルのその言葉を信じてずっと待ってた……。そう、貴方の訪れを。そうしている内に、ネガティブ思考症は治ってた。今思ったら、きっとこれは、キラルがくれた最後のプレゼントだと思うの。……そしてあの日、トキとようやく出会えた。長年待ち続けた存在に。キラルの言葉は……やっぱり真実だった……!」
アミンは涙を流した。そしてやっと全てを言えたアミンはずっと泣いていた。
「……きっと、キラルはこれで安心したと思う。全てを話した者、そしてそれを理解する者、二人の者は二人のキラルに救われた者。今頃、二人のキラルは笑い合ってるよ」
そう、私はアミンに言った。涙を堪えながらーー……

 上手くいったね。
そうだね、キラル。
貴方のおかげよ、キラル。
ううん、貴方も頑張ってたじゃない。
これで、トキとアミンは幸せになったし。
これで、私達も再会出来たし。
一石二鳥だね!

~キラルパート~ 過去と現実
 私達二人は幸せに暮らしていた。ある日、両親の勝手な思いより、私達は離れ離れになった。私は妹のキラルを探した。私は姉のキラルを探した。すると、此処にいると危ないと知った私達は偽りの職業を持つことにした。正確に言うと、そういう設定にするのだが。姉のキラルは看護師。妹は介護師。私達は他の世界へ移動することが出来た。その力を使って、姉のキラルは看護師の旅に出た。妹のキラルはアミンに会った。

 私は少しばかり看護師について勉強した。さすがに働かないと……っと思ったからだ。幸いにも、私は勉強に関しては多少出来る方だった。勉強はそう長くはかからず、3ヶ月程で看護師の免許を取った。
「さて、免許も取ったことだし、違う世界で看護師するかー」
私は手を空にかざす。すると、そこから異世界に繋がり、私は異空間に入った。

 私は気が付くと、異世界に到着していた。
「……ごめんなさい……お母さん、お父さん……」
泣き声が聞こえた。その声を辿り歩いていくと、一人の少女がしゃがみ込んでいた。
「……どうしたの?」
「!」
少女は振り返り、涙いっぱいの目をパチパチとさせ、ただ茫然と私を見つめる。
「……何かあったの……?」
「……信じてもらえないかもしれないけど、私、世界変化させることが出来る病で……それで……私のお母さんとお父さんが……うぅ……。私、お母さんとお父さんを殺しちゃったの……」
そう言うと、少女は泣き叫んだ。
「うわーーーーん……。ああああ……」
その病については、噂で聞いたことがあった。それは確か……そう「ネガティブ思考症」。彼女はきっと、小さい頃からその病に苦しめられ続けたのだろう。
「……そんなに責めないで。……貴方はきっと悪くない……」
私はか細い少女を抱き締めた。
「……貴方は一人じゃないよ……」
「……ヒック……ありがとう……」
少女は泣きながらも笑った。
「……私はキラル。貴方は?」
「……アミン。私の名はアミン」
「アミン、これからは私がアミンの傍にいるよ。ずっと守ってあげる」
そう、決意した。……キラル、ごめんね。でも私は、アミンの傍にいたいんだ。ちょっと会えない日々が増えるけど許して。

 異世界を通じて、やっと来たのはキラルとよく来ていた世界。此処でなら、まだ安心して看護師出来るかなと、私が自ら選んだ。
「よし、移動完了。さらに、此処で働いている設定にしたから、いちいち言う必要なしっと!」
そう言っていると、
「キラルさーん! ちょっと来てくれるー?」
「あ、はーい! 今行きますー!」
先輩の看護師さんに呼ばれ、私は急いでナースステーションの方へ向かった。
 ナースステーションに着くと、先輩の看護師さんと一人のベテラン医者が待っていた。
「お待たせしました! あの……用件は?」
「おぉー! 来たか、キラルさん」
「はい、何でしょう?」
「実はな、この病院には隔離病棟があってね、そこには一人だけ患者がいるのだよ。そこで相談なのだが、その患者の担当になってくれないか?」
「え? 私ですか?」
「そうだよー……。他の人にも頼んでいるのだが、誰も引き受けてくれなくて……。お願いだ! キラルさん……!」
「……そうなのですか……。分かりました。私が引き受けます」
「おぉー! それは助かる! 感謝するよ! それじゃあ、よろしく!」
「はい、分かりましたー!」
隔離病棟にいるたった一人の患者。よっぽど重症なのだろうか? 気になり、私はその唯一の患者に会いに行くことにした。
 そこは暗く、汚かった。一つだけ、名前の札がある扉。此処に唯一の患者がいるらしい。カラカラカラ……。扉を開けた先に一人の少女がいた。しかし処置が異常だった。
「!?」
口と身体が縛られ、言えば自由がない状態だった。少女の目には、涙があった。
「そんな……酷すぎる……。……ん?」
ふと見ると、患者の詳細が書かれている部分を見つけた。
「……『患者の病名:ネガティブ思考症』。これって……! ……あ、まだ書いてある……。
『扱い危険! 口と身体を縛らないと貴方はネガティブ思考によって殺されてしまう! 看護は年に一回で5~10分で済ませ、即退出しろ! 遅い程、貴方の生存率が低下していくぞ!!』……。そんな……どうしてこんなことを……。とりあえず、縛りを解かなきゃ……」
私は急いで患者を自由にしようと、縛りを解き始めた。

 アミンの傍にいると約束した。私は懸命にアミンを支えた。少しずつ元気を取り戻していくアミン。アミンが満面の笑顔を出せるようになるのも、そう遠くないかもしれない。
「ねぇ、キラル。キラルは私のことを守ると……傍にいると言ってくれたよね?」
「うん。今もそのつもりだよ」
「うん、だからね。私もキラルのこと守るの」
「え?」
「……守られっぱなしは嫌だもん。それに、私のせいで大切な人がいなくなるのは嫌だから……」
アミンは微笑んだ。私は両親を失った直後のアミンを思い出し、複雑な気持ちでいながら
「ありがとう、アミン。大丈夫、必ず貴方は私は守るからね」
アミンを抱き締めた。
『この世界は残酷だ。さよなら、世界』
「!? キラル、危ない……」
「え……。うわっ!!」
誰かが言った言葉によって、どんどん崩れ行く世界。
「キラル、これが世界変化させることの出来る病……ネガティブ思考症だよ……」
「……こんな風に、世界ってすぐに壊れてすぐにまた新しい世界が誕生するんだ……」
「キラルにとっては新鮮なことかもね。私は何回も見てるけど……」
「うん、新鮮。……でも、私も崩れるみたい……」
アミンは振り向く。私の背後に崩れる世界。
「!! キラル、逃げてーー!!」
アミンは私の手を取ろうとする。が、通り過ぎた。
「……! キラル……?」
「もう、私は死ぬの。もう世界変化に巻き込まれてるよ……」
「そんな……い、嫌……! 消えないで……。私、生きていけないよ……」
アミンの言葉を聞き、私は消え行く中、目を閉じた。そして、姉のキラルがいる世界での出来事を知り、ふと笑った。
「……大丈夫だよ」
「え……」
それだけを言い、私は世界の崩れに巻き込まれ、意識を失った――――……

 患者を自由にして、しばらくして患者は目を開けた。そして、自分の縛りが無くなったことに気付き、驚きを顔に出した。
「!!」
患者である少女は、身体を動かした。改めて、自由を確認した少女は混乱していた。
「……何がどうなってる……?」
私は安心させようと思い、少女に声を掛けた。
「……大丈夫……?」
「!?」
私の声にぎょっとし、振り返る少女。
「縛られていたからね。さすがに酷すぎるもの」
そう、理由を告げるが、少女はまだ私を警戒しているようだ。
「…………」
「私は此処の看護師なの。……まぁ、見習いだけどね」
「……看護師……」
「そう。……で、新たに私が貴方の担当になったの。でも……まさか、こんなに酷い処置されていたなんて……」
私を見つめる少女の瞳は光を映していなかった。私は悲しくなった。すると少女がポツリと言う。
「……知ってる? 私の病名――」
「ネガティブ思考症……でしょ?」
先に私が言うと、少女は目を見開く。
「!!」
「私の世界で言うと、鬱病。でもこの世界には、もっと酷い病があるんだね……」
少女はその言葉に顔をしかめ
「……貴方は何者?」
と尋ねた。
「……私は異世界から来た看護師。この世界のことは詳しいよ」
「……この世界は――」
「〝残酷だ〟でしょ? 今は言わないで。……貴方をこんな思いにさせるこの世界は確かに残酷だよ……。でも私はね、この世界はその為だけに作られた訳じゃないと思うの」
少女は再び目を見開く。
「……私はキラル。貴方は?」
「……私、名前ない。だからキラル。貴方が私の名前付けるの」
そう言われ、私は驚く。何にしようかと凄く悩み、思い付いた名前は……
「……。トキ……なんてどう?」
少女――トキは少しだけ笑った。

 ――――――暗くて何も見えない。結局会えなかった。このままずっと一人なのか……。そう思っていると
「……キラル!」
「!!」
振り返ると、そこにはずっと会いたかった――
「……キラル!!」
姉のキラルだった。
「ようやく会えたね」
そう、キラルは微笑んだ。
「会いたかった……キラル……」
「私もだよ、キラル」
私達はついに再会を果たした。それぞれで起きた出来事の詳細を話し合った。
「トキを置いて来てしまったの……。あの子は私以外、話せる相手いないのに……」
「私も……アミンを置いて来てしまった……。大丈夫とは伝えたけど、絶対あの子にとっては、大丈夫じゃない……」
姉のキラルはトキという存在、妹のキラルはアミンという存在を置き去りにしてしまった。私達は途方に暮れていた。すると、
『キラルにもう一度――――……』
『……どうか……来て……キラル……』
「「この声……!」
「アミン!!」
「トキ!!」
私達は顔を合わせた。どうやら、同じ事を考えていたようだ。
「行こか、キラル」
「そうだね、キラル」
『お互いいた世界に――――……』

 それで私達はあの二人に会いに行ったんだよねー。
うん。私達も、あの二人に会ったことで、人生が大きく変わった気がする。
それは私も思う!
……ねぇ、キラル?
何? キラル。
……トキとアミンはこれからも幸せに暮らしていけるのかな……。
……大丈夫よ。あの二人はもう逃げない。どんなに辛いことがあっても、二人一緒なら何でも乗り越えられると思うんだ。
……そうだね。あの二人ならきっと……もう大丈夫。
あれ? キラル、涙出てる……。そんなに優しくしてもらったの? アミンに……。
うん……。私が死ぬ直前までアミンは……私を助けようとした……。出来ることならもうちょっとあの世界にいたかった……。
……そうだね。私も、もう少しトキの傍にいたかった。トキに本当の笑顔を取り戻してもらいたかったの……。
でも、やっと笑顔に出来た。
やっと現れた仲間。
やっと現れた似た人。
これできっとトキは……
これできっとアミンは……
幸せになれたはず――……
……そうだよね? トキ。
……そうだよね? アミン。
貴方達はもう、幸せ……なんだよね? 私達がいなくてもきっと……大丈夫。
そう私達は言うと、互いに笑い、歩く――――

~あれから~
 お互いの苦しみが分かったあの日から、早一年が過ぎようとしていた。あれから私達はある街に二人で暮らしていた。最初此処に来た時、私は驚きを隠し切れなかった。
「……え!?」
「どうしたの? トキ」
「此処……あの能力者が世界変化を起こした世界……」
「え……。でも、一回ネガティブ思考で崩された世界ってもう元に戻らないんじゃ……」
「そのはずなんだけど、此処は確かにそう、私が初めてネガティブ思考で作り出した世界。キラルがいた世界。どうして……」
「もしかして、トキの言う能力者は世界を壊したフリして、キラルだけを殺したとか?」
「それはないと思う。だって、ネガティブ思考症の能力は発揮した本人ですらも、阻止出来ないもの。だとしたら……キラル?」
「キラルが戻した……てこと?」
「ううん、そうじゃなくて、キラルは自分の命を引き換えに、この世界が壊されるのを阻止したんだよ。じゃなきゃ、現実にこの世界がある訳ない」
「……ん? ちょっと待って。それなら私がいた世界は? ……キラルが死んじゃった世界は……」
「もしかしたら、残ってるかもしれないね。双子の姉妹、キラルなら姉も妹も同じような力を持ってるかも……」
「……行こう、トキ」
「言うと思った!」
私は笑い、そして向かった。アミンがいた世界へ――――

 『やっぱり来た? 二人とも』
「!? キラル!?」
「キラル、何で此処に?」
『貴方達に本当のことを言おうと思ってね。ねぇ、キラル』
キラルが言うと、もう一人、キラルが現れた。
『ごめんね、貴方達のキラルは別人なんだよ。この私がトキと一緒にいたキラル。こっちのキラルがアミンと一緒にいたキラル。そう、私達は双子の姉妹なんだ……。そして……貴方達はさっき、崩れたはずの世界を見たよね? それも、私達がいた世界に。あれはね、貴方達が暮らしていけるようにと、ボロボロだったのを元に戻した世界なの』
『私達二人で元に戻したの。ちなみに、アミンと私がいた世界は残念ながら元に戻せなかった……。あの世界は能力者の世界変化だったから、何とか世界を戻せたんだけど……私がいた世界は能力者ではなく、別の思考者による世界変化だったの。つまり、能力者の世界変化は命と引き換えに阻止出来て、思考者の世界変化は防げないみたい……』
「キラル……私達の方こそ、ごめん。実は分かってたんだ。キラルが双子の姉妹だったこと。そして、この世界を元に戻したのもキラル達だということも」
『!』
「いや、正確には、私とトキで推測したんだけどね」
「うん。私達二人で過去の話をしたの。もちろん、キラルのことも。でも、私とアミンが見た、キラルの死ぬ瞬間が違って……それで、仮設を立てたの。キラルは二人いるのかもしれないと。名前も性格も同じな双子のキラルがいたんだと」
『……そっか。トキ、アミン。此処でお別れだよ……。私達が此処に来た理由……それは、貴方達に最後のプレゼントをしようと思ったから……。そう、それがこの世界。私達が元に戻したこの世界で二人……暮らしてもらおうと思ったの』
『私達はもう目的を果たしたの。だから、もう……戻らなくちゃ……』
二人のキラルは悲しそうに笑った。一人のキラルの目から涙が零れ、その涙はキラルの姿を消していっていた。
「……ありがとう、キラル。私は貴方にどれほど救われたか……。いつか恩返しするから……!」
『……! トキ、貴方はもう十分恩返ししてくれたよ。貴方に出会えて良かった……。トキ。私も貴方に凄く救われたんだよ』
「え……?」
『貴方が私だけに話してくれ、そして私に優しさを与えてくれた。それだけでも私は……支えられたんだよ……』
「……キラル……」
「キラル、ありがとう。貴方はいつも、私の傍で励ましてくれた……。ねぇ、恩返しは出来ているのかな……私」
『もう十分だよ、アミン。それに恩返しされるほどのことなんか、何もしてないもの。でもアミンは私に恩返ししようと……。……ありがとね、アミン……』
「そんな……私は何も……。……ありがとう、キラル」
それぞれのキラルと再会した私達。キラルはさらに消えていく――……
『『ありがとう、トキ(アミン)……。……もう行かなきゃ……』』
「キラル……本当にありがとう……」
「絶対に忘れないよ……キラル」
『さようなら……』
そう言うと、キラル達は光となって消えた。
「……アミン、辛い?」
「ううん、トキがいるから……辛くない。これからも……共に……」
アミンはにこっと笑った。その笑顔はかつてキラルが持っていたものと似ていた。アミンの言葉に、私は笑い、
「私もアミンがいるから、辛くない。共に……歩いて行こう」
そう言って、私達は手を繋ぎながら、歩いた。二人の姿はキラルが残した世界の中へと消えていった――――――……

―終―

※これは小説家になろうにて、リルンという名で投稿してるものです。
決して奪ったものではないので安心して下さい。あたしのオリジナル小説です。

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