リルン 2018-01-22 22:08:36 |
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~アジトへ~
そう、私にはいくつか別名がある。どうしてかは分からないけど。その一つには、隊員(スペースガーディアン)というのがある。意味はそのまま“宇宙の守り神„……らしいが、私は神でも何でもない。ただの隊員だ。言うのなら“守護者„だと言って欲しい。
『目標マデ、アト10㎞デス。ターゲットガ近付キマス!! 注意シテ下サイ』
「ありがとね、シキラス。私も気を引き締めないとね」
我が愛機、シキラスはいつも、必要は時だけ私に知らせてくれる唯一の存在。シキラスにはいつも助けられている。
「シキラス、もうちょっとスピード上げるけど、大丈夫ね?」
『エネルギー残量75%!! ダイジョウブデス。10㎞ダト、スグニ着キマスヨ!!』
「ありがと。じゃあ、行くよ……!! パワー全開!!」
赤いレバーを倒し、出てきたボタンを押す。
『パワー全開完了……10、20、50、80、99、100!! パワー全開完了!! スピード上ゲマス……!!』
シキマスはパワー制御を解除し、加速装置を起動させる。スピードはすぐに上がり、景色の光も繋がり、直線に見える。宇宙は少し寒い。今こうして飛んでいても、肌寒く感じる。
「……くしゅん!!」
『ダイジョウブデスカ? 主。 宇宙デスカラネ……少シ冷エルノデショウ』
「……少し寒いかな……。でもこの寒さも好き。宇宙の寂しさを伝えてくれてると思うの」
宇宙は寂しい。無数の星がただ光る。惑星が回るだけ。温かみは無い。温かみは人工物や生物から感じる。その人工物や生物は敵か味方か。あるいはそれらではなく、全てを溶かしてしまう太陽か。
『……私ニハ残念ナガラ、熱ヲ感ジルコトハ出来マセン。デスガ……宇宙ハキットアル意味、温カイノカモシレマセンヨ。静マリ返ル宇宙ハ確カニ、寒イ。シカシ、ソノ寒サノオカゲデ、コウシテ星ハ輝ク。星ニハ僅カナガラ、熱ヲ持ッテイマス。星ノ存在ヲ改メテ考エルト、キット温カクナルデショウ』
シキラスが珍しく、長く話していることに驚きが隠せない。
「……シキラス。貴方がここまで話すなんて思わなかった……。びっくりした!」
『失礼シマシタ、主。余計ナ話ダッタデショウカ。……ソロソロ着キマス。パワー低下シマス』
スピードが少しずつ下がっていく。そしてその先には、明らかに人工物で作られたであろう、敵のアジトがあった。
「……目的地到着。反撃開始します」
【2月12日 7:37 目的地到着 犠牲者:130人】
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