リルンの小説~記憶の数々語り~

リルンの小説~記憶の数々語り~

リルン  2018-01-22 22:08:36 
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その名の通りです。
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  • No.24 by ルリア(赤猫教)  2018-01-24 15:16:50 

~一部解明~
 カタカタカタ……。パソコンの打つ音が鳴り響く。レンが難しい顔をして何やら調べていた。そこへ留美がやって来る。
「はい、レン」
「……え? どうした、留美」
「何だか大変そうだったから、リラックス出来るようにって、お茶淹れてきたの。はい、どうぞ」
そう言って、カタンとレンの前に置く。
「ありがとう、留美。んん……いい香りだね。有り難く頂くよ」
レンは手を止め、お茶を飲む。
「ど、どうかな……」
留美は正直不安だった。何回かお茶を作ったことがあったが、家族以外に飲んでもらったことがなかったのだ。
「美味しいよ! 留美、お茶作るの、上手いな!」
「本当!? 良かった……口に合って。私、覚醒前に何回かお茶作ったことあって……」
「なるほど、それでか! とても美味しかったよ。御馳走様!!」
「御粗末様でした」
留美は笑ってそう言い、カップを片付けに行った。
「覚醒前か……。覚醒人間でも、全く幸せじゃない人もいるんだよな……。キルという子もその一人……。きっと、他にもキルと同じで全く幸せじゃなかった人もいたんだろうな……」
レンは未だにキルのことを忘れられずにいた。救えなかったということもあり、責任を感じているのだ。
「……レン、またキルのこと、考えてる……?」
「まあね……。覚醒人間のほとんどは基本、幸せに過ごしていた人が多いんだけど、キルはそうじゃなかった。だから……保護したかったんだけど……」
「それって調べる意味で……?」
「いや、幸せに過ごしてもらいたいだけなんだ。ただ……調べたいとは思う。キルみたいな状態になった時の情報がまだまだ少ないんだ……。調べれば、少しは楽に出来ないかと思ってね……」
「……そうだよね。レンはこの一件について調べてるもんね……」
「正確に言えば、このことを告げている言い伝えについて調べているんだ」
「!? 言い伝え……!?」
留美がびっくりする様子にレンはパソコンの打つ手を止める。
「……? 何か知っているのか?」
「聞いたこと……あるよ。確か……
『月満チシ時、人間多数失ス。
月赤キ時、人間一人、覚醒ス。
全テガ覚醒セバ、世界崩壊セム』
だったよね……?」
「!? 今、もしかして此処の滲んで読めない箇所も読んだのか!?」
この言い伝えはかなり古いため、文字が滲んで読めない箇所もあったはずだ。
「読んだというか……私が覚醒する前にね、この言い伝えを言ってた人がいたの。その言ってたこと、覚えてるだけ。私が見ても読めないよ」
「この言い伝えを言ってた人……!?」
「もう随分前に亡くなっちゃったんだけどね……。その人だけ唯一、あの言い伝えを信じていた……」
留美は言い伝えを信じていた人が呟いたものなら覚えているのだという。
「じゃあ……! 他の言い伝えも分かるのか……!?」
「もう一つ……分かるけど、残りは分からない……」
「それでもいい。教えて欲しい……!!」
「うん。えっと確か……
『千年ヲ経テ、覚醒ハ消失シ、人間救ワレル。救ワレシ人間ハ、極楽浄土ヘ導カレザルコト無シ』
だったと思う」
「なるほど、ありがとう、留美! これはかなり手掛かりになるよ」
「役に立てて良かった!」
留美は微笑む。
「留美が明かしてくれた部分も含め、改めて訳すと……
『月が満ちた時、つまり満月だね。その時に、人間多数が死ぬ。月が赤い時、人間一人が覚醒する。全員が覚醒したら、世界は崩壊するだろう』
満月の時、人間が死ぬのは本当のことだったんだ。何故か満月の時、しかもかなりの人数、不幸の死を遂げるんだ……」
「そして、赤い月が出て、それを見ると覚醒するんだ……」
留美は目を赤くして、獣へと姿を変えた。
「……!? 留美……!!」
「大丈夫。目が赤くなっただけだから」
そう言ってにこっと笑う。
「そ……そうか……」
レンは少しほっとする。
「もう一つの方はね……
『千年経つと覚醒は無くなり、人間は救われる。救われた人間は、極楽浄土へ導かれないことが無い。つまり、極楽浄土へ導かれる』
ということだね」
「なるほどね……。それなら人間も信じる気になるわ」
「ただ……この『覚醒は無くなり』とはどういう意味だろうか……。覚醒人間が普通の人間に戻ることなのか、あるいは……」
「覚醒人間が死に、他の人間達が救われるということなのか……でしょ?」
留美は微笑むが、どこか悲しそうな表情にレンは胸を痛める。
「……留美……」
レンはふと、留美を抱き締める。
「!? レン? どうしたの、急に……」
「留美……貴方のことは私が守ります……。必ず……救ってみせます……!!」
「……!! レン……。ありがとう。期待、してるね」
留美は涙を浮かべながら笑った。
「留美。そのためにも、一つお願いがあるんだ。これから私はこの現象の最初の被害者の所へ行くんだが、留美もついてきて欲しいんだ」
「うん、いいよ。それに私もその現象とか、言い伝えについてもっと知りたいから」
「……留美……!! ありがとう! じゃあ、行こうか」
「うん……!!」
留美は片方の目を青にし、獣から元の人間の姿に戻った。

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