ぬし 2018-01-16 06:59:15 ID:b4381a9cc |
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――お帰り。おーおー酔ってるねぇ。
(扉を開けるや否や倒れこんでくる身体、仄かに伝わる熱と強烈な酒の臭い。遅れて夜の澄んだ空気が玄関に忍び込む。咄嗟に右腕と自分の身体でそれを支えて、左腕で背中を擦ってやると、鼻の奥で鳴らすようなああともううとも取れない呻き声に交えて何事かをぶつぶつと呟いているらしく。自由の効かない身で戸を閉め、お疲れさん、と聞かせてやればじわりと肩口が濡れた、やはりやけ酒で間違いないようだった。
何度かぽん、ぽんと背を叩いたあと、歩くように急かされ半分自重を此方に預けた子泣き爺を引き摺ってベッドに転がす。面倒が勝って上着だけ引き取り、中々無造作に蒲団を被せ、“このまま寝てしまいな”と。相手の目に蓋をするように己の掌を被せると、大人しく瞼を落としたようだ、冷えた手が心地良かったのだろうか。間を置かず聞こえてくる寝息に何とはなく安心して、色付いた頬にそのまま手を滑らせ暫く。突如すっと顔を近付け、されど何かの直前でブレーキがかかったように急停止。どこか耐えるような表情で、それでも優しくその耳に“Bonne nuit”と落とした。それから何事もなかったかのように今夜の寝床になるソファを目指す、あの子に何かをする勇気のない自分を嘲りながら)
(/愛しのお相手様へ。(※ただしエア)すぺかん、おやすみなさい!)
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