◆書き手 2018-01-12 17:25:07 |
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◇始めの物語
Wonderlandと呼ばれる国の女王が急死した。病死と知らされたが、数日前までは住民たちに顔を見せるほど元気だったと言う。原因不明の急死に住民たちは戸惑い、女王がいなくなった影響で国の時間は動かなくなってしまった。この国に朝は来ない。昼は来ない。キラキラと星が瞬く夜が続いていた。
「このままではいけない」と誰かが言った。「早く女王を見つけて国を動かさなければ」と誰かが言った。女王不在の国は住民たちの投票により、当時『公爵夫人』の役を持っていた住民が強引に女王の役へと押し込めた。これで時間は元通り! 誰もがそう思った。その筈なのに──オカシイ。時間は元に戻らない所か、ぐるぐると時計の針は逆に回り出し、時間が遡り始めた。夜から昼に、昼から朝に。今日は昨日に、昨日は一昨日に。住民たちは女王の所為だと非難した。しかし、女王がいなくてはまたこの国の時間は止まってしまう。住民たちは。いよいよ『アリス』に助けを求めた。
たすけて ありす!
どうか わるいじょうおうを
やっつけて!
◇世界観
Wonderlandと呼ばれる異世界。携帯やPCと言った電子機器はなく、メールは伝書鳩で、オーブンは釜戸で、電車は蒸気で走っている。中世ヨーロッパの街並みに近いレンガの家やタイルの道が広がっているが、看板の文字が逆さであったり、木々の色がピンクだったりと現実離れした風景も。
Wonderlandで暮らす住民たちは『役持ち』と『役無し』が存在する。大半は『役無し』の一般人で、毎日をおもしろおかしく過ごす人々を指す。『役持ち』は文字通りWonderlandで特別な役割に着く人々を指す。『役無し』は基本的に『役持ち』に逆らう事が出来ないようになっている。世界のルール。
Wonderlandでは女王が絶対の権力を持ち、代々選ばれる女王が国を動かし、時間を動かしている。また、女王は外の世界から選ばれる決まりが存在し、未来の女王を皆『アリス』と呼ぶ。一度迷い込んだアリスが元の世界に戻った例はなく、皆女王を引き継いでいる。
◇話の概要
前例のないWonderlandでの異常事態。次の女王、もといアリスが迷い込む前に女王が突然の急死。時間を動かす女王の代理人として公爵夫人の『役持ち』が女王の座に当てられたが、代用どころか本人も意図せず時間を狂わせている。『役無し』たちは時間の逆行の影響で日々若返り、子供に至っては消滅してしまっている者も出ている。例外としては『役持ち』はその影響を受けていない。住民たちは現女王(公爵夫人)を非難し、新しい女王を求めている。本来は女王とチェス勝負をして勝ったら王位を譲ると言うのが恒例であるが、現在のWonderlandでは「女王を殺せ!」と言う声が多い。
◇『役持ち』
ハートの女王、白うさぎ、公爵夫人、チェシャ猫、三月うさぎ、帽子屋、眠りネズミ、イモムシ、グリフォン、ド―ド―鳥、ハンプティ・ダンプティ、トゥイードルディー&ダムたちが役持ちと呼ばれる住民。過去には他の名前も上がっている為、数に決まりはない。増えたり減ったりの繰り返し。ハートの女王だけはその役持ちが途絶える事はなかった。──筈だった。
生まれつき特殊な外見を持ち(獣の耳、髪の色、瞳の色など)、役無しの中から突然産まれて来る事もあれば役持ちの子供が受け継ぐ事もある。また、役持ちは揃って長寿であり数百年単位を生きる。眠りネズミ、ド―ド―鳥は数十年ほど前に亡くなっており、現在は役が空いている。他、ハートの女王の役に押し込められた公爵夫人、グリフォン、ド―ド―鳥、トゥイードルディー&ダムも現在は役が空いている状態。
◇『役無し』
役目のないモブ。しかし当然のことながら全ての住民に名前があり、人生があり、生活がある。住民の大半は役無し。役持ちに逆らう事が出来ないと言われているが、どうやら狂った時間の中ではその効力は発揮されず、我こそは役持ちになってやろうと考える住民もいるとかいないとか。役無したちの間では、役持ちを殺すことで自分が役持ちになれる、と言う噂が立っている。
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