---Abandoné　"Le journal de Mary"

【　館の中のお部屋について　】


無事にこの日記を見つけられたのね、おめでとう。
それじゃあ早速、書いていきましょ。
このページには、館の中にあるお部屋について私が知っている事を書き残しておくわ。

此処には、本当に沢山のお部屋があるの。
蔵書室に行ったことがあるなら分かると思うのだけれど…
館の大きさから考えて物理的に有り得ない広さだったり、
私たちニンゲンの常識からは到底考えられない空間だったり、
兎に角、数が多いだけあって多彩なの。楽しい部屋も、それから怖い部屋も…本当に色々。

今の私が知る範囲で、簡単に纏めておくわね。



◆死にたがりのお部屋
これはあなたも知ってる筈。私たち死にたがりの為に用意された、死にたがり専用のお部屋。
一人で使うには勿体無いくらい広くて、正直持て余してしまうのは私だけかしら？
でも一通りの家具に、洗面台とお風呂、それからトイレまで揃ってるなんて。本当に便利よね。
あと、部屋に居ても居なくても、一日一回必ずギャルソンの分身達が入ってくるでしょう？
最初はすごく驚いたけれど、有難いわ。毎日掃除とベッドメイキングを済ませてくれるんだから。
あっ、そうそう！忘れるところだった。
お部屋の扉についてる鍵は、ちゃんとかけておいた方が良いわ。
ノックもしないで入って来たり、外から扉を壊したり…油断していたら、散々な目に遭うのよ。
鍵さえかけておけば、あなたとギャルソンの分身以外は勝手に出入り出来ないし、
外から衝撃を与えられても壊れないように、扉を護ってくれるの。大事な事でしょ、覚えておいて。

◆遊戯室
このお部屋はギャルソンのお気に入りで、彼が管理しているの。
扉を開けたらその先は何にもない唯の真っ暗闇。天井も壁も床も真っ暗で、方向感覚が無くなるわ。
でも、中に入ると色んなゲームをして遊べるから、案外楽しい部屋よ。
室内で出来る遊びなら、大抵の事が出来る筈。私はトランプゲームが好きだったわ。
それも唯のトランプゲームじゃない。特別なカードを使った、不思議な遊び方をするの。
退屈した時には行ってみると良いわ。

◆大聖堂
このお部屋はファナティックのお気に入りで、彼女が管理しているの。
文字通りの大聖堂、正面に置いてあるステンドグラスは本当に綺麗だから一見の価値有りよ。
基本的には、とても静かな場所なの。基本的にはね。時々例外もあるのだけれど…
その証拠に、聖母マリアの像は首から上が砕かれてなくなっているの。まあ…察してね。
何となく落ち着いてみたい時とか、お祈りをしたい時には行ってみると良いわ。

◆遊園地
このお部屋はジュモーのお気に入りで、彼らが管理…と言うよりは、入り浸っているの。
びっくりするでしょう？館の中に遊園地があるなんて！
ジェットコースター、観覧車、メリーゴーランド、ゴーカート…乗り物も色々よ。
このお部屋に来ると、ついつい時間を忘れてしまうわね。
時間を忘れて遊び尽くしたい時には、行ってみると良いわ。

◆宝飾庫
このお部屋はヴィペールのお気に入りで、彼…じゃなかった、彼女が管理しているの。
彼女は兎に角美しい物が大好きだから、美しい宝飾品だけを集めた部屋を造ったのよ。
キラキラして眩しくて、右を見ても左を見ても綺麗な物しか置いてないわ。
宝石や貴金属、それこそ財宝宛らの物が詰まった豪華なお部屋。
光り物に囲まれてみたくなった時には、行ってみると良いわ。

◆蔵書室
このお部屋はファントゥームのお気に入りで、彼が管理しているの。
広さと本の数はそれこそ国立図書館に匹敵すると思うわ、読書家には堪らないお部屋ね。
此処に来るといつも、ファントゥームが紅茶を淹れてくれるわ。彼、紅茶の腕は一流よ。
世界中から色んな本が集まっているから、きっと飽きない筈。
じっくり読書に耽っていたい時には、行ってみると良いわ。



ふう。今回はこのくらいにしておこうかしら。
お部屋はそれぞれこの館の住人が管理しているけれど、出入りは誰でも自由なの。
好き嫌いがあるかも知れないから、皆が全ての部屋で楽しめるとは限らないけれど…
あなたが連れて行ってと言えば応えてくれるかも知れないし、
あなたがひとりで行ってみた時には、誰かがそこに居たり、やって来たりするかも知れないわね。