◆狸 2018-01-01 00:20:57 |
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>八百 晦日
ああ良かった!良い匂いがする人間としか聞いていなかったものですから、間違っていたらどうしようかと思いました。――― はて。おまわりさん、とは何なのでしょうか?此方の世界に生きる犬は全てそう呼ぶのですか?
( 確信を持って服の袖を掴んだのだから、先の呼び止めを聞いた其の人が振り返ることを微塵も疑っておらず。然しそれほど当然と思っていても、一瞬の静止の後にゆっくりとした動作で振り向いた瞳と視線がぶつかった瞬間溢れんばかりの喜びが胸中へ広がっていく。妖として生を享けても本質は犬。人に、誰かに構ってもらえることの楽しさは何物も代え難く。おまけに賢いと他ならぬ巫女様から褒めて貰えたのであれば、背の側に生えた尾などは千切れんばかりに振れ続け此の嬉しさを表して見せた。釣られて喉元まで出来ていた わん の鳴き声は寸でのところで飲み下しながら改めて言葉にして喜びを伝え掛けたその時、明らかに自分を指して呼ばれた名に思わず言葉は引っ込み首は傾いて。聞き慣れない、与えられた知識にもない。詰まるところ初めて耳にした口に馴染まない語句を繰り返して見せれば最も早く至った自己解釈で答え合わせを試みて。もし自分の考えがあたっているのであれば先程すれ違った犬も、遠く向こうで吠えている犬も、こうして人語を介す自分でさえも等しく"おまわりさん"と呼ばれるのだろうか。であれば、それは巫女様にとっても自分にとっても不便極まりなく。「 私はおまわりさんではなく、犬神と申します!貴方を守るためにやってきました!失くし物をしたなり、道に迷っているなり … 何か困り事があれば、どうぞ此の私を使って下さい! 」 識別を容易にするために自分の種族、そして使い道を連ねては其の手のことに対する自信を表す様に両手をぎゅっと握りしめて見せ。奇しくも当て嵌められた童謡の犬に似た言動を喜々として取っているとは、露知らず。 )
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