傷口の毒味　［　指名制 ／ NL BL ／ 吸血鬼　］

>イヴ

ッ…へぇ、それはどうかな。やってみなきゃ、分からない。だからこそ面白いんだよ、おわかり？
(まるで、心の内を見透かされたような言葉に怒りと羞恥、その2つで血流が押し上げられ顔が真っ赤になりそうだ。たとえ、感情が籠っていないにしろ憐れみの言葉は大嫌いだ。憐れまれるのは、下にいる証拠だと知っているから尚更のこと。反射で噛んだ唇を窘めるように一つ舐め上げ、ニヤリと質の悪く挑発的な笑みを浮かべる。「それはどっちだろうね」彼と同じく笑みは変えぬまま、一つ呟けば言葉とは対象的に左頬を撫でる彼の右手を、悪戯を諌める親のようにパシンと軽く叩いたか。
「見えるから、ね。」何も行動を起こす様子がなく、二人の間に差し出されている己の手が不格好に見えそっと、気づかれぬように手を下ろすと共に、相手の言葉を反復して。それが意味をするのは、いわゆるマーキングに近い行為なのだろう。わざわざ、見える場所に跡をつけるのは人が行うキスマークと同様のように感じ、勝手にそう決めつけた。もしそうならば、彼らは人よりも欲深い生き物だ。そんな彼らに勝てたらどんなに楽しいか。)