主. 2017-12-31 13:58:32 |
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(確かに、こんな意地を張っていても仕方が無いのは分かっているしきっと自分が迷って屋敷内で野垂れ死のうと彼らには関係の無い話だ。──キミは餌だろう?という初めて会った吸血鬼の彼の言葉を思い出す。折角ようやく治り始めた貧血が、案内をした礼としてまた血を強請られたらまたぶり返してしまうのてまはないかと要らない心配をしつう、マリカはちらりと彼を一瞥したあとに「私の部屋──いいえ。大きな暖炉のあるお部屋まで、案内して下さい。」と小さな声で告げた後、彼の顔が見えないように深く頭を下げて。頭を下げるのが悔しいとか、人に弱みを見せたいとかそういうものでは決してないが。吸血鬼である彼らに借りを作るのはあまり頭の良い判断ではないと自分でもちゃんと理解しているつもりだが、背に腹はかえられない。最初にいた暖炉のある部屋まで行けば、自身の部屋までの道のりは分かる。彼らも一々『餌』の個々の部屋など把握していないだろうし、似たような扉がいくつもあって自分もまずそこで脳内のマップを整理しないと自身の部屋がわからない。ぎゅう、とスカートの裾を握り締めれば首筋の傷がズキンと疼いたような気がしてそっと眉をひそめて。)
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