主. 2017-12-31 13:58:32 |
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悲しくもなんともないさ。
…ほら、キミはもとより餌だろう?
(お人形みたい、じゃない。お人形だ。しっかりと的の中心を射ている。ここに連れてこられる彼ら彼女らは人間である前にひとつの存在であり、ひとつの存在である前に吸血の餌なのだ。だからそんなのないなんて叫ぶ必要はないし、悲嘆にくれる意味もない。決められたレールの上を走るのに何故悲しさが付き纏う。安泰で死の待たない道を行けと言われて何故嫌がる。荒波に飛び込みたいというのなら止めはしないが、おすすめはしない。待つのはきっと止まる息の根だから。「運命を悲観したってネガティブになるだけだからやめた方がいい。…これもキミのためだよ」こちらを見上げる彼女の頭に片手を乗せて撫でてやり、眉を下げた。今の自分が可哀想だと思えば思うほど前の世界が恋しくなるし、それは己にとっても不都合だ。彼女も苦しくなるはずだし、双方に不都合があるだろう。)
僕らはこの部屋を貸すつもりなんてないよ。キミにあげるんだ。
(それは部屋にしても同じだ。下げた眉の下、口角が緩んで苦笑いを作る。借りるなんてまるで返すことがあるみたいじゃないか。己らはこの部屋を返してもらう気はないし、元よりあげるつもりでこうして無限の館へ招待している。逃げることはできないし逃がすつもりもない。「キミはこの部屋で生涯を終えるんだろう?」尋ねるように言ったけれど、有無は言わさない。逃げられると思われても困る。)
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