主. 2017-12-31 13:58:32 |
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(命知らずか自暴自棄かストライキか記憶喪失か。いずれにせよ面倒で仕方がない__とそこまで考え、ソファにどっかりと座った彼に頭が痛くなった。どうやら無鉄砲でもヤケでもないらしい。挙げた六つより遥かに面倒で、何ならストライキの方が仕事を増やされずに済んだろうに。「…よりによって俺か、」嫌だと言うわけではないが、俺と言うか今の己だったか。独り言を零して彼の座るソファへ革靴の音を響かせて近付けば、「幼気のある奴からキツい酒の匂いはしない」見た目は随分と若そうに見える彼にそう吐き捨てて。)
若い頃から酒、か。
__お前の血液は苦そうだな。
(小さく息を吐いた。酒やタバコ、薬物なんかが血液の味に与える影響は微々たるものだけれど、血液を食物としている己らからすれば相対する補色のように違う。タバコは苦みを助長し、酒や薬物は後味を悪くする。当たり前に何もしていない純潔の餌と比べれば格段に味は落ちる、し正直言えば萎える。…それを補って余りあるほどに甘い味の血液を持つ人間もいるが。己の影を彼に被せるようにソファの前に立ち、じとりと緑の双眸が彼を見下ろす。減らない口を耳に入れて噛み砕き数度瞬きをすれば、自称幼気のあるうざったい前髪に説明してやろうと「聞け」一言指示を出した。)
__帰れないこともないが、お前は帰れないし出れない。
俺は吸血鬼で、お前は俺らの餌。…分かるだろ?
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