主. 2017-12-31 13:58:32 |
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>イヴ
(普段ならば、背後から近づいてくる足音に直ぐ様気がついたのであろうが、好奇心に従っている今はそんなことさえ気づくことは叶わず、誰か来たということがわかったのは後頭部に走った微かな鈍い痛みのおかげ。背後から飛ぶ物騒な言葉、そして欲が満たされなかったこともあいまって、表情はそれはもうただでさえ目つきの悪い目は、さらに鋭くなっているか。そして手を引っ込めながら後ろを振り向いて。そこにいたのは、銀の髪と赤色の瞳が揺れる自分よりやや歳が上のような男性。まず驚いたのは、その容姿。頭頂部が見えないため髪は染めていると判断すればそれまでだが、揺れている瞳はコンタクトの作り物の色とは思えないほど、綺麗で美しかった。自分の勘に従うならば、それは生粋のもの。ならば、ここは外国だったりするのか。目まぐるしく回る思考は、彼の言葉でピタリと止まった。
「色々と言いたいこと、聞きたいことはあるけどどうでもよくなったや。吸われたいって、何を?銀髪に赤目なんて、物語に出てくる吸血鬼みたいだななんて思ったけど、まさかそんな面白い事言ったりしないよね?」一歩踏み出して、彼の顔を覗きこむように近づこうか。彼の一言で、一気に他のことがどうでもよくなって興味が大きく膨れ上がった。自分の瞳はいつもどおり輝きが増し、口角が上がっているだろう。今の状況より、彼のことに好奇心が大きく揺れ動いているのが嫌というほどよくわかる。未だにパチパチと火花の音が響く暖炉のことも、遊び終わった玩具のように興味は失せていた。)
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