主. 2017-12-31 13:58:32 |
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(聞いたことのない名前__は普段より餌の名前なんて聞かないから良いとして、無駄にテンションが高く、単語で表すなら元気といった様子の彼女__名前はヴィヴィアンと言ったか__が紡ぐ言葉は紛れもなく示している。何をと言えば、来たばかりの新品だということに他ならない。距離を詰めて来た彼女から香る異質な匂いはきっと人間の世界のものなのだろう。その匂いに血が混じる瞬間を好む己としては受け付け難いモノだ。さてそんなにっこりと口元が弧を描く彼女とは対照的な己の驚いたような顔は、少なくとも彼女の言う酔い潰れたところを助けた色男には見えそうにもないと思う。こんな時咄嗟に対応できてこそ何百年と生きてきた吸血鬼の腕なのだろうけど、ここにいる同種の中でも新しい餌に出会うことが少なかったためか数秒体が止まった。やっとそこら辺に散らばるたくさんの情報を噛み砕いて飲み込めば、尋ねるように傾いたその整った顔と瞳を合わせ「…そーいや見たことなかったな」呟いて納得した。)
…その安いクラブだとかは知らねーな。
お前を見たのも初めてだし、おにーさんは倒れた女を襲うタイプだ。
(彼女の期待している状況でないことは分かった。首筋に吸血痕もなく、自ら吸血鬼に近付いて来ることも何より彼女の発言が確信を更に強い確信へ変える。 迷い込んだ、というよりか無差別的に送り込まれた新しい餌だ。つまり純情で純潔には見えない彼女も、この館では純情で純潔と言える。そんな純情で純潔な彼ら彼女らに吸血鬼が与えられる使命というのは言ってしまえば面倒だけど、これも何かの縁だ。ひとつくらい痕をつけてやってもいいかもしれない__そう下心と言うべきものを10割胸に秘め、「__運が悪かったな、ヴィヴィアン。俺らの餌に選ばれて連れて来られたらしい」口にしたのは回りくどく伝えることが苦手な己らしいと自負する言葉。)
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