主. 2017-12-31 13:58:32 |
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________ え、きみ ?
( 謎の確信染みた言葉を発する彼、思わず小さく聞き返すものの、彼は返答する気など更々無いらしい。不思議な雰囲気をかもし出す彼、少々気に留めながら、立ち上がり彼の次の言葉を待った。すると次に彼から言われた言葉は謝罪。きっと己を此処に連れてきたのは彼なのだろう、突拍子も無く、勝手な推理をしていれば、再び己の有無を言わせぬまま、彼は唐突に簡易な説明を始めた。彼の説明の中、なんとなく、ぼんやりとは感じていたのだが、己はこの館に送り込まれて、吸血鬼である彼の食料元とならなくてはいけないらしい。簡潔に纏めてしまうと、何とも強引な話だ。当初から僅かに気になっていた異様な八重歯も、信憑性を秘めている。しかしだ、先ず大体にして、何故己なのか、もし選ばれるのが何等かの偶然ならば非常に運の悪いこと。しっかと、柔らかな口調で、淡々と言葉を紡いでいく彼の 瞳 と、少々人間とは異なる鋭く長い、そう、童話やらに出てくる吸血鬼の象徴とも言える 八重牙 を慌ただしいながら交互に目配せする。彼の言葉が一旦止めば、相槌を打つように、
“ へぇ、そうなんですか。 ”
と、先程とは打って変わり、つまらないとでも言うような簡素な反応を見せる。別に此処で家畜として飼われても然程人生に支障は無いのだろう。非現実な状況ながら、案外冷静にのしかかるアレヤコレヤを理解すれば、愛想を見せる事も忘れ、彼の話を聞いていた。 )
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