此処は、光と闇がはっきり区別された世界。何故正反対でお互いの邪魔になる者達が共存しているのか。
それは、支配者の存在であった。
かつて、光と闇が要り混じり、平和だった頃。その時のこの世界は、『ラルトス』と呼ばれていた。
この国を治めていた支配者、第83代鳳凰『蓮華(れんげ』は、誰からも好かれ生きる勇気を与える偉大な人柄だった。
鳳凰というのは代々継いでいく肩書きである。一代に一人与えられる最重要で名誉のある肩書き。『ラルトス』が全盛期に差し掛かる頃、突然の病で鳳凰は死んだ。
急遽鳳凰を継いだのは、齢15の『蓮華』の娘だった。
人々は戸惑いながらも、神童と唄われた『蓮華』の娘についていこうとした。しかし、『ラルトス』を震撼させる出来事が起こった。
『蓮華』の葬儀の途中、実の娘である第84代鳳凰『神紅嶺(かぐね』が、棺に炎を放ったのである。国総出、国民総出のこの葬儀は、暗い悲しみと不安、怒りに溢れ結局なんの説明の無いまま、幕を閉じた___。
暫くして、大きな反乱が起きた。それは、熱狂的に『蓮華』を支持していたある都市によるものだった。
強い力を持つ鳳凰の部隊がこれを制圧し、罰したが、これにより、さらに国民の反感は買われた。
しかし、志は同じな光と闇は何故分裂したのか?
これは、『神紅嶺』がある政策を企てたからだ。
“光の者と闇の者は分裂せよ。さもなくば、お互いの種族の代表をイケニエとして差し出すこと。その者らは一生幽閉される”
半ば強引に決行されたこの策。鳳凰にとってどんな利益があったのかは誰にも判らない___