創作執事 2017-12-17 11:18:01 |
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(差し出された手にそっと手を重ね、潤んだ目に気付かれないように少し目を伏せ、車から降り)
ええ、ありがとう。
それじゃあ、先に見てるわね。
(ちらりと車内のぬいぐるみを振り返り、何か引っかかる気がするも、それが何か分からず、車から離れ店内へと入り)
(店内はクリスマス間近ということもあり、庶民的な店のような謳い文句はないものの中央には、ペアの指輪やネックレスなどのアクセサリーが並んでおり)
お揃い……ペア……。
(何かが引っかかるとじっとそれらを見つめ、次の瞬間はっと息を飲み。まだ彼が自分の執事になって間もない頃、幼い時分には両親のいない日は酷く心細く、『あなた、私の執事なのよね。なら、ずっと私の傍にいなさい。お父様やお母様がいない時も、あなただけは私を一人にしないで』と『その代りにこれをあげる』と少し強引に当時お気に入りだったぬいぐるみを押し付けたことを思い出し。そう、あれもペアのぬいぐるみで、リボンの付いた女の子側の猫は、今も箪笥の中で眠っている筈で。そんな昔の物をまだ持っていてくれたことの嬉しさで、潤んでいた目からついに雫が一筋流れ)
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