塚 2017-12-16 20:11:54 |
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── 君はどうして泣いているの ?
( その言葉は何も知らない無垢なものだった。街の外れの奥にあるけもの道を通り、少し登った所にあるのは秘密基地の様なちょっと怪しい雰囲気の裏山。怪しい所為か、この場所には滅多に人が来ない事を知っていたので落ち着きたい時は此処に来ては街を見下ろし、景色を楽しんでいた。だが、今日は先客が居た様で相手の姿を見付けた瞬間、帰ろうかと悩んで居ると裏山に一つだけ設置されてある廃れたベンチに座っていた相手が泣き出し。己が泣かせた訳ではないけれど、何故だか帰りづらい雰囲気と言うか、このまま放って置いてもいいものなのか。悩みに悩んだ結果、茂みから出て相手の座るベンチまで歩いて行き、そっと横に座るや否や上記を述べて。隣へ座ったかと思えば唐突な質問を投げ掛けてくる己は凄く不気味で怪しかったのだろう、声も上げず静かに泣いていた相手は何も言わずに顔を背けて終い。何が悪かったのだろうか、己には全く理解が出来ないなと、街を見下ろし乍どうすれば良いのか考えれば徐にズボンのポケットに手を突っ込みガサゴソと漁り「 良かった。一つだけあった。 」と、呟きつつポケットから取り出したのは袋がぐしゃぐしゃになっている飴で。未だ泣き止まない相手に " あげる " なんて、ぶっきらぼうだが甘い飴を渡せばやっと相手の涙が止まり、その後日が暮れるまで二人で話をして )
ドロップス - それは甘い甘い滴。
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